暁 〜小説投稿サイト〜
鎮守府の床屋
番外編 〜夜戦トーナメント〜
一人前のれでぃーvs海の向こうから来た日本人
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「ちょっと! 私はヤパーネリンじゃないわよ!! れっきとしたどいっちゅよ!!」
「嘘つけ!! 生粋のドイツ人が『わらび餅が食べたいわ……あのねっとりとした感触が官能的よね……』とか言うわけ無いだろうが!!」
「梅干し食べて『故郷ドイツのグロスムター(おばあちゃん)を思い出す味ね……私艦娘だからグロスムターなんていないけど』とかわけわかんないコメントを残すドイツ人なんていないクマッ!!」
「ちょっと! ビス子の相手はこの暁よ!!」

 演習場に入ってきてトーナメント表の自身の名前を見るなり、ビス子たちが俺に噛み付いてきた。いいねぇ。暁ちゃんもビス子もやる気満々で大変結構。言われっぱなしは癪なので言い返したが、その心意気や良し。ちなみにこの煽り文句を考えたのは俺だ。中々の仕上がりになったと自負している。

『さて、選手入場も終わったところで、そろそろはじめるよー』

 北上の声でアナウンスが入る。突貫のイベントの割に結構本格的だなぁ。鎮守府全域放送をここで行うのもけっこう大変だったろうに……なんてことを思いながら、互いに戦闘意欲満々のビス子と暁ちゃんをのほほんと眺める俺。あの二人、俺を奪い合うために戦うんだよなぁ……いいなぁ……お姫様ってなんだか楽しいなぁ……

『ルールは簡単。一対一の夜戦演習を行って、相手が大破判定、もしくは相手に“まいった”“ごめんなさい”“こんな格好イヤだぁ”的な降参をさせると勝ちです』
『制限時間が過ぎても決着がつかなかった場合は、損小具合の低い方が勝ちになるよ!』
『艤装は装備できる物なら何を使っても自由。それで勝てる自信があるなら爆雷やソナー、ドラム缶やおにぎりで戦ってもいいよ−』
『あと北上、あんた明日の昼戦演習で張り倒す』
『降参の言葉に“早く修理したーい”も付け加えます』
『分かればよろしい』
『まぁ戦っても負ける気しないけどね』
『いい根性してるじゃないか北上ぃ』

 新たに勃発した北上と隼鷹の遺恨を尻目に、今、一人前のれでぃーこと暁ちゃんと、ドイツから来た日本人ことビス子の、血沸き肉踊る戦いが始まるのだった……!!

「ビス子……勝ってハルに膝枕してもらうのは暁よ!!」
「負けられないわアカツキ……たとえ親友のあなたにでも、譲れないものはある!!」
『じゃあはじめるよ。やっちゃってー!!』

 北上の合図と同時に、演習場の照明が落とされた。と同時に演習場全域は暗闇に覆われ、比較的明るいこっちの観覧席からは、演習場の様子が分からない。

『やぁあ!!』
『ふぉいやー!!』

 ただ、時々演習場の中で『ボン』という砲撃音と共に光が一瞬だけ輝き、二人の姿がちらっと見える瞬間がある。恐らくその時、二人が砲撃しているのだろう。加えて、時々水柱が上がっているからなのか、こち
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