暁 〜小説投稿サイト〜
鎮守府の床屋
番外編 〜最期〜
私が守っていたもの
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 主機をフル回転させ、私は鎮守府を目指し全速力で走る。敵の数は果てしない。今はビス子がなんとか抑えてくれているが、ビス子もいずれ突破されるだろう。それまでになんとか……少しでも距離を稼がないと。

 私は今日、ビス子と共に出た哨戒任務で信じられない光景を見た。深夜の海の闇に紛れて、尋常ではない数の深海棲艦の艦隊が、鎮守府に向かって迫りつつあった。

「センダイ。あなたは鎮守府に戻ってこのことを伝えて」
「え……でもビス子はどうするの?」
「……私はできるだけ時間を稼ぐわ」

 私には分かる。きっとビス子は、自身が轟沈する覚悟で、あの場所に残ることを選んだんだ……。

 敵の旗艦と思われるタ級を見た途端、ビス子の顔が変わったことに私は気付いた。……ひょっとすると、あのタ級が暁ちゃんの仇なのかもしれない。ビス子が暁ちゃんの仇を取りたがっていたのはよく知っている。

――ええ。またあとでね!!

 ビス子のバカ……あんなヘタクソなウソをつくだなんて……あんた本当は轟沈する覚悟のくせに……命と引き換えにしてでも暁の仇を取りたくて、あの場に残ることを買ってでたくせに……

 それなのに、あんな笑顔でストレートにウソをつかれたから、私は気付かないフリをすることしか出来なかった。……見てなさいよビス子。帰ってきたら、夜戦演習で張り倒してやる。

 私の鼻を、何かがかすめた。左右を見ると、左右に一体ずつ駆逐艦のハ級が迫ってきていた。私を左右から挟撃するつもりらしい。

「甘い!!」

 左肩に取り付けた那珂の探照灯で、左側で並走するハ級の目をくらませた。と同時に進行方向に魚雷をばらまいて雷撃。左側にいたハ級を撃沈させた。

――姉さん

 つづいて姿勢を低くする。と同時に私の頭頂部を1発の砲弾がかすめた。偶然ではない。肌に伝わる感覚が、私に敵の次の行動を教えてくれた。そのままの姿勢で私自身は急減速。と同時に敵の進行方向に魚雷をばらまいた。数秒の間の後、私がばらまいた魚雷はもう一体の駆逐ハ級を撃沈した。

「今の私に夜戦で勝てるなんて思わないでよ?!」

 再び主機をフル回転させ、私は再度トップスピードで鎮守府に帰投した。

――姉さん 敵に包囲されつつあるから気をつけて

 懐かしい声が聞こえた。かつて鎮守府において最強の軽巡洋艦として君臨した私の妹、神通が私をフォローしてくれている。

―今晩のセンターは譲るよっ

 同じく、妹の那珂が激励してくれる。態度こそふざけた那珂だったが、その夜戦の実力は本物だった。最強の妹たち……これほど心強い存在はない。今の私なら、きっと鎮守府にたどり着ける。大丈夫だ。

――姉さん 空から雷撃機が来ます

 分かってる。すぐに対空戦闘に入り、私はすべての雷撃
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