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あと三日
8部分:第八章
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第八章

 そのうえでだ。さらに話すのであった。
「この雑巾は受け取らせて頂きます」
「それじゃあ」
 こうしてだった。雑巾も受け取ってもらい夏休みの宿題は全て終えたのだった。そしてそれから暫く経ってだ。真央に思わぬ話が来た。
 母は真央からそのことを聞いてだ。驚いて言うのだった。
「あの絵が!?」
「そうなの。特別賞になったのよ」
「何でそうなったの!?」
 目を丸くさせて娘に問う。二人で夕食を食べながらの言葉だ。父は残業で留守だ。亭主元気で留守がいいということである。娘にとっても。
「それはまた」
「それはね。あれなのよ」
「あれって?」
「独特のデザインだって言われてね」
 それでだというのだ。
「それでなのよ」
「独特のなの」
「ピカソとかそういう感じに思われたみたい」
「成程ね。そういうことなのね」
 話を聞いてだ。母も納得した。
「ピカソね。そういえばそうよね」
「それもまた芸術だってね」
「芸術ってわからないわね」
 母は自分が作ったカレイの煮物を食べながら話した。
「あれも芸術なの」
「そんなに驚くこと?」
「だって。アマゾンにいる怪物みたいだったじゃない」
「アマゾンに怪物いるの?」
「いるでしょ。あそこには」
 人類にとって最大にして最後の秘境だ。こう言うのも母の中では当然だった。しかし流石にアマゾンでも怪物は存在していない。
 だがそれでもだ。母は言うのだった。娘のその絵について。
「ああいうのも」
「いるのね」
「多分ね。とにかくよ」
「入賞よね」
「本当に世の中ってわからないわね」
 また言う母だった。
「けれど何はともあれね」
「よかったわよね」
「ええ、おめでとう」
 母としてだ。娘に祝いの言葉を贈った。
「何はともあれ宿題も終わったしね」
「最高の結末よね。どうやら私って」
「あんたは?」
「土壇場で力を発揮するタイプなのね」
 こうだ。ゴーヤチャンプルを食べながら笑顔で話すのだった。
「そうなのね。それじゃあね」
「今度は何なのよ」
「これからもぎりぎりまで何もしなくていいわね」
「駄目よ、それは」
 母はそのことはすぐに止めた。
「絶対に止めなさい」
「駄目なの」
「駄目よ。また連日徹夜するつもり?」
「そうしてだけれど。駄目?」
「徹夜みたいに無理をしたら駄目よ」
 これも母親としての言葉だった。
「毎日少しずつやりなさい。いいわね」
「何でよ。ぎりぎりになったら全部できるからいいじゃない」
「そういう問題じゃないの。まずはね」
「まずは?」
「いつも少しずつ努力すること。継続は力なりよ」
「何か面白くないけれど」
 母の言葉に憮然としてだ。真央は言うのだった。
「できるんなら最後の最後でい
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