暁 〜小説投稿サイト〜
鎮守府の床屋
後編
6.カウントダウン
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ほっぺたに触れ、血を拭っていた。そのまま川内の手を握り、必死にぶんぶんと上下に振っていた。

「もうよせ球磨」
「いやだクマッ。川内は寝てるだけクマ! ……ひぐっ……起こすクマ!!」

――姉の最期を看取ってくれてありがとうございました

 うるせえ。見たくないもんを見させるな。本人が惚れた男でもない俺に、背中剥き出しの自分の姉を抱かせるな。看取らせるな。

――ありがと 那珂ちゃんからもお礼を言うね

 お前はあとではったおす。球磨と俺が絶対はったおす。……嫌だったら自分の姉をなんとかしろ。川内を助けろ。

「神通も那珂ちゃんもクソたわけたこと……ひぐっ……言ってるクマ……川内。このまま起きなかったら……ひぐっ……張り倒すクマよ?」
「もうやめろ球磨ッ……」

 俺が抱いている川内の身体から、休息にぬくもりが無くなって冷たくなっていくのが分かった。それは、川内の手を握っている球磨にも伝わっているはずだ。

「やめろって」
「イヤだクマ!! 川内は狸寝入りしてるだけクマ!! ……ひぐっ……妖怪夜戦女が沈むはずないクマ!!」
「……」
「せんだーい! 起きるクマー! 今晩球磨と夜戦演習やるクマー! ひぐっ……夜戦クマよー? 起きるクマー!! ……ひぐっ」

 球磨は必死に川内の手をぶんぶん振り、川内の狸寝入りをなんとか邪魔しようとしていた。だが、川内が目を開くことはなかった。


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