暁 〜小説投稿サイト〜
鎮守府の床屋
後編
3.返事をしろ(前)
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 作戦開始を本日深夜に控えた今日、『夜戦に向けて髪を整えて!!』と鼻から水蒸気を吹き出していた川内の髪を整えていたら、川内がフとこんなことを言い出した。

「そういやさ。夜戦に向けて昼寝ポイントで昼寝しようと思って行ったんだけど……」
「夜戦に向けてっつーか、お前いっつも夜になると元気じゃんか……でどうした?」
「そしたらね。加古がいたんだけど、寝てなかったんだよ」

 この真っ昼間に寝ないのが普通なはずなのだが、加古に限っては1日24時間常に眠りこける筋金入りの妖怪ねぼすけ女のため、そんな当たり前のことが大ニュースになる。

「ほー。あいつなら夜戦に備えるなんて大義名分なんかなくても普段から寝てるのにな」
「うん。寝転んではいたんだけど、目はパッチリ開いてたんだよね」
「話はしたのか?」
「『寝てないのー?』て聞いたら『うん』って」

 そら寝てないんだから、そう聞かれたら『うん』としか言えんわなぁ……と突っ込むのは野暮だろうか……。

 とはいえ少し気になるな。あとで球磨と一緒にちょっと昼寝ポイントに行ってみようか。現在進行形で『夜までヒマだクマ』とか言いながら霧吹きで店に過剰に湿気を供給している妖怪霧吹き女のことだから、多分『来いよ』と言えば来るだろう。

「おい球磨」
「クマ?」
「ちょっと手伝え。霧吹きでここんとこ吹いてくれ」

 俺は、今も無駄に店内に水分を撒き散らす妖怪霧吹き女に、川内の襟足を霧吹きで湿らせるよう命じた。

「イヤだクマッ。キリッ」
「キリッ。じゃなくてやれよ。霧吹きが手元にないから散髪出来んだろうが」
「口でぷーって吹きかけてやればいいクマ」
「誰がんなことやるかアホ。お前になら喜んでやってやるわ」
「んなことやってきたらハルの頭を波平カットにしたあとで、残り一本の貴重なアホ毛を毛根からむしりちぎってやるクマ」
「ぷっ……仲いいねー二人とも」
「「黙れ妖怪夜戦女!!」クマッ!!」

 その後なんとか無事に霧吹きを奪い返して川内の散髪を終わらせた俺は、球磨を引き連れて加古の様子を見に行くことにした。

 考えてみれば、今年は寒くなるのが早い気がする。まだそこまでではないとはいえ、こうやって外を出歩くと若干肌寒く感じるほどには、気温も下がってきている。

「クマー……」

 こいつは裾の短いセーラー服を着ているためか、初めて出会ったその日から若干の妖怪へそ出し女だが……つーか寒くないの? 腹冷えないの?

「特にそんなことはないクマね。風邪ひいたことはあるけど、腹を壊したことはないクマ」
「マジかい……」

 見てるこっちが寒くなるんだよなぁそういう格好は……

「それはそうと、なんで加古は寝てないんだろうな?」
「わかんないけど……古鷹は知
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