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101番目の舶ィ語
第七話。千夜一夜夢物語A素直な転入生
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の癖になっている溜息。
元々、理亜が吐く『はふぅ』は『もうしかたないなあ』みたいな軽いもの。
しかし、今の『はふぅ』は困った内心を吐き出すかのような、幸せを逃しそうな重みがある溜息だった。

「それより、今日は兄さんに何を作るかを考えましょう。冷蔵庫に残っているものはなんだったでしょうか……」

勇気を奮いたたせる為に独り言を零しているような理亜の姿を見て、胸が締め付けられる。
なんで俺は彼女の様子が違うのに気づかなかったんだ!
過去の自分を殴りたくなる。


「こんにちは、お姉さん」


その言葉が聞こえた瞬間、世界は凍りついた。
俺はその言葉をかける人物と、この世界を知っている。
だが、理亜は全く知らなかったようで、ビクッと肩を震わせ慌てて背後を振り返った。
振り返った理亜の視線の先______1mも離れていない距離に。
そこには、大きな白い帽子を目深に被った白いワンピース姿の女の子が立っていた。
少女の存在に気づくと同時に、どこか甘い、花のような香りが漂ってくる。

「私はヤシロだよ、お姉さん」

そう、目の前には実在する都市伝説だけを集めたサイト。
『8番目のセカイ』の案内人にして、そのサイトに唯一繋ぐことが出来る端末『Dフォン』を配る存在のヤシロちゃんがいた。

「こんにちは、ヤシロさん。私は理亜です」

「うんうん、よろしくね、理亜お姉さん」

クスクス笑ったヤシロちゃんは「はい、これ。お姉さんの」といかにも渡すのが当たり前なように掌に乗ったソレ(・・)を両手を掬い上げる形で差し出した。

「私の?」

「そう。お姉さんのDフォン」

ヤシロちゃんの掌にはかつて俺が手渡されたのと同じ特殊な端末。
漆黒の携帯端末機。
Dフォンが乗っていた。
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