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鎮守府の床屋
前編
11.祭だ祭だっ!!(後)
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すがら鈴虫やコオロギがリンリンと鳴いてるし、空を見上げればキレイなお月様が顔を覗かせている。

「いいねえ。風情があるねえ」
「おっさんくさいこと言ってるな北上……」

 とはいえ北上の言う通りだ。秋の風情が漂う、素敵な道のりだ。中庭に近づくに連れ、次第にみんなのぎゃーぎゃー騒いでいる声が聞こえてきた。でもまだ距離は離れていて、喧騒の中の静寂という感じがとても心地いい。

「ついたクマー!!」

 祭り会場に到着。会場は市政の祭会場は違ってハンドメイド感溢れる作りだ。櫓には……恐らく妖怪浴衣アホ毛が描いたであろう『あきまつりだクマ』と描かれたヘタクソな看板が張り付いていた。

「早速提督のわたあめを食べに行くクマ!!」

 球磨はそう言うと、一目散に提督さんが待ち構える夜店に向かって走っていった。浴衣で走るだなんてこけないか心配だったが、器用に足を浴衣の裾から出してものすごいスピードで走っていった。

「ハルは行かないの?」
「この前のサボりの時に散々甘いものは食ったからな。今日は見送りだ」
「ぁあ〜。球磨姉とデートした日か。楽しそうに話してくれたよ」
「誤解を招きそうな言い方はやめろ」

 夜店に到着した球磨は、大はしゃぎでわたあめを提督さんに催促していた。……見とれてなんかないからな。マジで。

「ハル!」

 ビス子の呼び声が聞こえ、ビス子の方を向くと、ビス子は何やらヨーロッパの町娘みたいな……でもおしゃれでかわいらしくアレンジされた服を着ていた。胸元が大きく開いて強調された服のせいか、ただでさえナイスバディなビス子が、今夜はいつにも増してセクシーに見える。色気のあるヨーロッパの町娘といったところか。キレイな中にも茶目っ気と可愛げがあるところがビス子っぽくて大変よろしい。

「どお? これがディアンドルよ?」

 そういってビス子は髪をファサッとかきあげ、得意げに胸を張っていた。

「おう。よく似合ってるよ。そっか。その服の名前がディアンドルって言うのか」
「そうよ? 名前は知らなくても、見たことぐらいはあるでしょ?」
「おう。でもビス子にその服、よく似あってるなぁ〜」
「パァァァァアアア!! ホント?」
「おう。いつも凛々しい戦闘服ばかりだもんな。でもそういう柔らかい服もよく似合うよ」
「そんな私は?」
「そう!」
「「一人前のれでぃー!!!」」

 ビス子と息を合わせてハイタッチ! その後ビス子は『アカツキのうちわを振り回してくるわ!』と言い、向こうで大きなうちわを仰いでいる暁ちゃんの方に駆けていった。ホント、あの二人仲がいいね。

 北上もいつの間にやらいなくなったし、俺は球磨のとこにでも行こうかね……と夜店の方を見たその時……

「ハルぅう〜〜!!」

 
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