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乱世の確率事象改変
寄り添う蓮の白さに
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かも。第四のこともあるし」

 その時のことを考えてぶるりと震えた。
 きっと其処に顕現するのは地獄に違いない。例え嘗ての戦友である部隊であろうと、そのモノ達はなんの躊躇いもなく蹂躙するだろう。
 敵に恐怖を。戦場に狂気を。また……彼らが大陸に地獄を作る。

「もし劉備軍が何かして来たらあんた達が切り拓けばいい。そうすればあいつらを使わなくて済むわよ?」
「へへ、それいいな。アニキが通る道をあたいが切り拓く。いいねいいねぇ! そんときゃあたいも立派な徐晃隊第九番隊ってわけだ!」

 口に手を当てて可愛らしく笑う猪々子に、詠はやれやれとため息をついた。何処か楽しげな表情は満更でもないらしい。

「頼りにしてるわよ、九番隊隊長殿」
「あいあいさー♪」
「それじゃあ移動の為の必要物資のまとめを始めましょっか。兵士が減ってるってことは気付かれないように……」
「慎重に、だろ? わーってるって。それよかアニキに準備させる方が先だぞ。なんか森の方に行っちまったけどどうすんだ?」
「第四の三人が一緒に付いて行ってるから大丈夫でしょ。あいつの荷物なんてそれこそ料理道具とか変な工具とかそんなのばっか。こまめに纏めてるから勝手に詰めておいても何も言わないわ」
「ふーん、んじゃ、はじめっかね」

 互いに懸念がないか確認出来た彼女達は椅子から立ち上がった。
 これからはまた戦場。あるかもしれない益州でのモノか、それとも遠く西方の大地でか。どちらにしても自分達に出来ることをやるだけだと二人は心を定め、未来の為にと動き出した。




 †




 その使者は唐突にやって来た。
 西涼から極秘で来たと言う二人の男女は、益州太守である劉璋の元にではなく劉備軍総括である朱里の元へと訪れてきたのだった。

 一人は男。赤茶色の髪にすらりと長い手足。切れ長の瞳には意思の強さを宿し、熱気と呼ぶべき何かを背中に揺蕩わせていた。
 一人は少女。西涼ではよくあるらしい髪型、茶髪のポニーテールを揺らしながら少しばかり緊張した面持ちで立ち竦んでいる。

 実力の程は如何か、愛紗や鈴々、星は読み取る。自分達程では無いが一介の武人として戦場に立てるだろう、と。
 きゅっと引き結んだ唇を震わせて、その少女は朱里、白蓮、愛紗、鈴々、星、藍々の前で声を上げた。

「西涼よりの密使、馬岱と申します。
 予てより劉備軍の噂はお伺いしております。真に勝手ながらも私共の願いを聞き入れて頂きたく想い馳せ参じた次第に」
「曹操軍のこと、ですね?」

 誰よりも先に、朱里が鋭く返した。
 幼い見た目に気を抜いていた馬岱――蒲公英の喉が、その冷たい輝きに魅入られてゴクリと鳴る。

「そろそろ来る頃合いだと思ってました。要件をどうぞ」

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