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暴れん坊な姫様と傭兵(肉盾)
10 命名『バッテン』
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 デトワーズ皇国エルザ・ミヒャエラ・フォン・デトワーズ姫陛下。
 彼女の突然の訪問(ほうもん)という非日常は、砦に軽いパニック状態に(おちい)らせた。

 正規兵(せいきへい)から正規兵に、傭兵(ようへい)から傭兵に。
 かなりあり得ない展開に、大人しくしている者は限りなく少なかった。
 傭兵を()めているような一防衛拠点(いちぼうえいきょてん)に姫様が来訪(らいほう)するとなれば、各々(おのおの)の間に噂が飛び()う。

 事態(じたい)に理解が追いつかない者もいれば、名誉欲・出世欲・金欲・物欲・性欲、もろもろ思う者が出てくる。
 (またた)く間に、エルザ姫の事であれこれを思惑(おもわく)を巡らせる者で砦が一杯になった。

 もはや一時的の流行(ブーム)だ。


 ―――ここで一つで例え話をしよう。

 家に突然、とても(おそ)れ多い(かた)がやってくるとする。
 そこで家の中が()らかってるとする。
 そしてそれを片づける暇もなければ、ゴミとして捨てる暇なんかないだろう。

 ならばどうするか?

 十中八九(じゅっちゅうはっく)、家のどこかに一か所にまとめて隠すのが人情というものだろう。

 ……ちなみに僕はベッドの下が隠し場所だった。


 まぁ、その(おそ)れ多い方というのがエルザ姫であり、家というのが砦であり、()らかってるゴミというのが傭兵(ようへい)だ。
 なくては困る、しかし視界に入れるのを(はばか)られるような困った存在である傭兵(ようへい)をどこへやるのがいいか。
 答えは…頭上を(あお)げば見える青空が教えてくれた。


 どう見ても屋外です。
 砦の外です。


「おい、何よそ見してんだ?」
「ひっ」

 左隣にいる傭兵(ようへい)(にら)まれて、上空を(あお)いでいた僕は思わず小さな悲鳴を上げた。

「なんで俺達が外にいなきゃなんねえんだよ。 なあ、どういう事だマーチン?」
「そ、そんなの僕に言われても〜…」

 そして右隣にいる傭兵(ようへい)が不満そうな声を(あらわ)にしながら、(ひじ)小突(こづ)いてきていた。

「あぁっ? 何か文句あんのかぁ?」
「あ…ありませ〜んっ!」

 今度は前方にいる傭兵(ようへい)から、首だけこちらを向いて物凄く機嫌悪そうな声で(おど)しつけてきた。
 どっちを向いても怖い人がいて、自分は顔の向き所を失っていた。


 どうしてこうなってしまっているんだろう…。

 事の発端(ほったん)はさっきも言ったように、エルザ姫の突然の来訪(らいほう)によるものだ。
 そのせいで僕を
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