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携帯メール
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第三章

 これで家族もないとされた。それで他も考えてみた。
 後はだ。これしかなかった。
「迷惑メール?」
「それ?」
「不幸の手紙みたいな」
「そんな変なスパムかしら」
「やっぱりそれかしら」
 美菜子も結局この考えに至ったのだった。
「このメールって」
「そうじゃないの?だったらね」
「気にしないのがいいわね」
「迷惑メールなんて幾ら気にしても何にもならないし」
「そうそう。そもそも差出人不明だし」
「それだったらね」
「一応残しておくわ」
 消しはしなかった。それはしないのだった。
「後で変な請求来た時に警察に証拠として出す為にね」
「まあそれがいいわね」
「賢明ね」
「そうした変な請求も本当に急に来るし」
「それだったらね」
「まあとにかく。これで話は終わりね」
 美菜子は携帯を自分のポケットに戻した。そのうえで表情を元に戻した。
 そして何気にだ。自分の彼氏の話もなかったことにしようとした。
「そういうことでね」
「まさかねえ。美菜子にね」
「そうよね。彼氏がいたなんて」
「何時の間に作ったのかしら」
「その辺り知りたいわね」
 しかしだった。そうは問屋が卸さなかった。周りがこう言うのだった。
「さて、それじゃあ」
「ちょっと話してくれるかな」
「どうして晃君と交際するようになったか」
「教えてくれるかしら」
「うっ、それは」
 それを言われるとだ。美菜子は怯んだ顔になった。ぎょっとした感じだ。
 大人びたその顔がそうなってだ。そのうえであった。
 周囲を完全に囲まれてしまった。最早逃げられなかった。
 そのまま彼氏のことを洗いざらい白状させられた。彼女にとってはとんだ藪蛇であった。
 致命的な秘密を白状させられることになった。それで精神的に完全にノックダウンされたうえで重い足取りで家に帰る。するとであった。 
 彼女の家族は兄と両親に祖父母、そして曾祖母がいる。曾祖母は九十を越えているのにまだ矍鑠たるものだ。全くぼけてはいない。
 その曾祖母がだ。玄関からあがって二階の自分の部屋に向かう為に廊下を歩いている美菜子の姿を認めてだ。居間から声をかけたのである。

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