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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
17.兎、幽霊の集いと出会う
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 ヘスティアは、悩んでいた。

「お金とは、使うために存在する……それが常識……!常道……王道……究極的……!が、しかし……!!無謀……余りにも無謀……収入が見込めないこの状況で、それは無計画……愚の骨頂……!」
「か、神様!鼻とアゴが定規で書いたような形状になってますよ!?あとなんか背景が『ざわ・・ざわ・・』してます!!」
「金は命よりは軽い……軽い筈なんだっ……!!」

 何を悩んでいるのか福本作品キャラみたいに顔面が変形しているが、彼女のファミリアになりたてホヤホヤのベル・クラネルにはサッパリ事情が掴めない。取り敢えず、客観的にはヘスティアは先ほどから金貨がパンパンにつまった袋を眺めている事だけは分かっている。

 しかし、そう考えると少しおかしい。ヘスティアはその暮らしぶりからして決して裕福には見えないのに、あの袋の中には結構な量のお金が入っていそうだ。彼女の貯金としてはやけに量が多いような……気がする。
 そんなベルの視線に気付いたヘスティアは、顔の形を元に戻してその疑惑に応える。

「このお金はねぇ、ベル君……ボクの甥っ子の友達がくれたお金なんだ。『いつかファミリアが出来たらこのお金を使うといい』って、ポンと渡されたものなんだよ……」
「ええっ!!ちょ、ちょっと待ってください神様!その袋、いったいいくら入ってるんですか!?」
「この袋には、300万ヴァリス入っている……!!ボクの今の月給の実に30倍近くにも上る……!!そして、なんとそれだけではない!!」

 ヘスティアがおもむろに戸棚をバカッと開け放つと、その戸棚から何と先ほどの金貨袋と同じくらいのサイズの袋がドサドサと落ちてきた。賄賂が発覚した瞬間みたいな衝撃映像である。緩んだ袋の口から転がった金貨が足にぶつかるまでベルもフリーズするほどの大金だった。

「その子はあんまりにもお金に執着がなくて!!来るたび来るたび子供にお小遣いをあげるかのようにバカバカと大金を運び込み!!なんと先月にとうとう総額2億余ヴァリスまで膨れ上がった!!」
「に、2億ぅぅぅぅぅぅぅッ!!」
「2億あればぶっちゃけマイホームを立て直すついでに冒険者の上等な装備を一通り揃えるくらいの事は出来る!!」
「ま、マイホームゥゥゥゥゥゥゥッ!!」

 勢いに流される男、ベル・クラネル。状況が把握できていないのに何となく衝撃的な事実を知ってしまった感じだが、大金を見たことのない彼にはその金貨が浴びるような量に膨れ上がって見える。というか浴びれなくもない。
 落ちた金貨を拾い上げるヘスティアの手がバイブレーションして更に金貨が落ちるくらい震える。

「ぼぼ、僕はね……僕はこのお金に手を付けるのが怖いッ!!人生で見たこともない量に膨れ上がっていく金貨が恐ろしくて、僕はファミリアが
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