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東方一本槍
第一話
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[1] 最後
俺は、弱い…
いつだって、そうだ。わかっている。
 
 つい、先日のことだ。この幻想郷で大きな権力、力を持っている八雲紫が、俺たちの住む山の集落を訪れたのは───
俺は、あいつが嫌いだ。特に、あの目。見ていると、こちらの全てを見透かされているような気持ちになる。
八雲紫は、集落に入るや否や、俺の仲間たちが身を隠しているの察したのか
「…愛想がないのね。悪いけど、かくれんぼをしている暇はないの。この集落の長を出してちょうだい。」
と、小馬鹿にするように言った。
「どうしたのですか、八雲様。」
俺たちの長だ。長は、ここら辺の妖怪の中では実力者として、知られており天狗との間にも不可侵を約束されている。
「悪いけど、明日から人間を襲っちゃだめだから。」
は?何を言っているんだあいつ。つくづく意味の分からないやつだとは思っていたが、俺たち妖怪の存在理由すらも忘れたのか。俺は、あきれてしまった。
「八雲様、申し訳ございませんが、少々、私には理解が苦しいのですが。」
「ごめんね、言い方が悪かったかしら。明日から、幻想郷の争いは、このスペルカードを使って解決するようにしてちょうだい。」
あいつは、すごい笑顔で長だけでなく、俺たちに聞こえるようにわざと大きな声でそう言い放った。
スペルカードは、俺たちのような妖怪が子供のころに妖術を覚えるために使うものであり、言わばお遊びというところだ。
「じゃ、私は次に行くところもあるし。帰るね。」
「待ってください!八雲様…」
あいつは、長の言葉を最後まで聞くこともなくスキマへと消えていった。

 あいつが集落を訪れて数日がたった頃、当然、俺たち妖怪が人を襲わないなんて約束を守ることはなく、人を襲いはじめた。
 すると、どうだろうか俺の前を走っていた仲間が人間を見つけ、襲いかかろうとした刹那、消えた。
消えたのだ。比喩なのではなく、言葉そのままの意味で消えたのだ。
「だめじゃない。人間を襲っちゃ。」
 この耳に触る嫌な声、あいつだ。八雲紫だ。
俺は、激昂した。
「俺の仲間をどこへやった!」
「あら、怖い。あなた女の子なんだからそんな怖い顔しちゃだめよ。」
話をそらされたが、そのおかげといってもいい。俺は、少し冷静さを取り戻した。しかし、まだ怒りが収まったわけではない。今一度、冷静を装い八雲紫に問う。
「八雲紫。俺の仲間をどこへやった。教えろ。」
「あら、私は知らないわよ。」
我慢の限界である。俺は、つくづくこいつが嫌いだ。
「白を切るきか!」
 俺は、そう言い放つと槍を構え、やつのもとへと一直線に跳んだ。
俺の種族は、重力を操る程度の能力を持っている。その中でも俺は、能力の程度が弱く。
自身と自身の持っている物にかかる重力の方向を変えるのがやっとだ。 
この場合、跳ん
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