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歌集「春雪花」
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 淋しさを

  隠す粉雪

    儚くも

 見なば満ち足る

    夜半の月かな



 私の淋しい気持ちを隠すように降る粉雪…。
 それは地に落ちてはすぐに溶けてしまい…それは確かに在ったものなのか、はたまた私の幻覚だったのか…そんなあやふやなものになってしまう…。

 見上げれば…雪雲の間からうっすらと月影が差している…。

 雪雲は薄く、その切れ間から垣間見えた月は…私の心とは違い、満ち足りたような満月であった…。



 忘れ難き

  想いを胸に

    降る雪の

 春にとけゆき

   川となりせば



 忘れられない…彼のことを忘れるなど無理なのだ…。

 どんなに想っても一緒にはなれない…。
 そんな想いを胸に秘めて見る雪の、なんと侘しいものだろう…。

 そんな雪が春には溶けて川になるように、私の想いも彼の元へと流れ…解ければ良いものを…。




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