第二章
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「真剣にね」
「それじゃあ」
「ええ、結婚しましょう」
「そうだね」
「ただね」
ここでだ、アメリアはルイージにこんなことを言った。
「あの服はね」
「ああ、あの服はね」
「結婚したらだから」
「結婚する前にだね」
「あの長さの服をもう一度着たいけれどいいかしら」
「いいよ」
ルイージは微笑んでだ、アメリアに答えた。
「それで僕に見せてくれるかな」
「そうするわね」
「本当にね」
ルイージも言った。
「あの服はね」
「結婚したらね」
「長さが変わるからね」
「そこがね」
「面白いね」
「そうよね」
「服自体は同じでも」
それでもというのだ。
「そこを変えるんだね」
「まあ結婚したら服を変えるのは」
そのことはとだ、アメリアはこう言った。
「何処でもあるわね」
「東西を問わずね」
「あるわね」
「女の人は特にね」
「日本だと」
アメリアはこの国のことにも言及した。
「結婚した女の人はお歯黒を塗って」
「歯に黒い染料を」
「それで眉を落としてたから」
「かなり独特の外見だね」
「それで結婚してるってことを見せていたのよ」
言うまでもなく世間、つまり社会にだ。
「そうしてたし」
「日本でもだね」
「あの国の昔はね」
江戸時代のことだ、実際に当時の日本の女性は結婚するとお歯黒で歯を黒くして眉を剃っていたのである。
「そうだったし」
「そこはね」
「本当に東西よね」
「変わらないね」
「それでここでもね」
ナザレでもというのだ、二人が今いる。
「そうなのね」
「そこを調べて子供達に教えるのも仕事だしね」
「私達教師のね」
こうした話をしながらだった、二人はそれぞれの家に帰ってだった。
日曜日共に教会のミサに来た時にだ、アメリアは。
赤が一番上にあり七枚のそれぞれ色が違うスカートをはいてだった、上には白地に花の模様がある袖が広く飾られているブラウスと赤のベストを着ている。頭には黒い帽子がある。スカートの長さはくるぶしまでだ。ナザレの伝統的な女性の服だ。
その服で教会に来てだ、ルイージに笑って言った。
「この服もね」
「その長さはね」
「もうすぐ着られなくなるわね」
「結婚したらね」
もうそれでというのだ。
「同じ女の人の服だけれど」
「また変わるのよね」
「このナザレでもね」
「このね」
ここでだ、アメリアは。
そのはいているスカート達をひらりとだ、身体を一回転させてなびかせてからルイージに対してこんなことを言った。
「七枚のスカートが好きなの」
「このナザレのね」
「重ねてはいてるけれど」
そのスカートを、というのだ。
「これが好きなの」
「それ諸説あるんだよね」
ナザレで生まれ育った
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