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されど世界を幸せに踊りたい
3話
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としては貴方をラズエル社に送り届けたいと思っている」

 その時、ガユスとヤザワに贈られる御礼は、膨大な物となるだろう。
 遭難していたレメディウスを、実家であるラズエル社に、送り届けることも理に叶っている。
 しかし彼は怒りに身を震わせながら、
「誰があんなところに戻るか!」
と吐き捨てた。

 そして自身の状況を静かに語っていく。
 ウルムンに来て曙光の戦線に拐われたこと。
 技術力を買われて、武装の手入れを手伝っていた。
 その間にドーチェッタの非道を見た。
 彼等の装備はラズエル者が売った物だったらしい。
 義憤と怒りに買われ、曙光の戦線に協力したこと。
 突然ドーチェッタに捕まった。
 話を聞いている間に、ガユスとヤザワは視線を交差。

(凄くどうでもいいのですが)
(黙ってろよ。冷血侍)

 一瞬のアイコンタクトを終了させて、彼等二人はレメディウスの御高説を黙って聞いていた。
 拷問の末にこのデリラ山脈に仲間と共に放逐されたらしい。
 山脈をさまよう末に、レメディウスとナリシア以外の全員が死んだこと。
 語り終えた彼は、疲れたのか大きな息を吐いた。

「それでレメディウス博士はこれからどうする? 山の麓の仲間達に合流するか?」

 ガユスの質問に、レメディウスは少しの間をおいて、首を横に振った。

「少々気になることがあるので、まだ合流は考えていません」
「レメディウス。何で?」

 粥を啜っていたナリシアが首を傾げる。

「僕達が何故捕まったのか。少し考えてみたんだ」

 其の深い緑色の目は、静かな炎が宿っていた。

「あの状況で僕等の居場所が解るはずがないんだ。誰か裏切り者がいない限り」
「そんな!」

 彼の言葉に、ナリシアは驚愕の声を上げる。彼女にとっては長い時間を共にした仲間だったのだろう。裏切者がいるなんて考えられないという声色だった。

(この茶番は続くのでしょうか? 宝もやばいものでしたし、早く帰りたいのですが)
(だから黙っていろ。爬虫類型黄色人間)
(人種差別反対)

 再びのアイコンタクトを済ませて、ガユスとヤザワは視線を粥が入ったお椀に戻した。
 その間も、レメディウスとナリシアは舞台劇のような一面を繰り広げていた。
 やれそんなこと信じられないだの。やれそうとしか考えられないだの。どうのこうの。ヤザワとガユスにして見ればいい加減にしてほしいと思うところであった。

「やはり俺達としては、レメディウス博士。貴方を連れ帰りラズエル社に送り届けたいのですが」
「その方が報奨金を貰えて嬉しい事がありますし」

 二人の言葉が男女の劇を遮る。
 レメディウスは二人の方へ視線を移す。

「それはないでしょう。もし、ラズエ
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