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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第173話 総攻め
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感じ取ったが敢えて口にすることは無かった。正宗にとって重要なのは孫権が納得して正宗に仕官することなのだろう。孫権は以前に正宗に人材の紹介を願い出たことは事実である。孫家内でどのような遣り取りがあったにせよ、彼女にとって人材を正宗から紹介してもらうことに異存は何らないはずだ。

「相分かった。喜んで文官は手配しよう」

 正宗は孫権の意外な申し出に内心驚いているようだった。孫権は仕官する意向を伝えに正宗の元を訪ねたはずだ。こんな露骨な要求は孫権が考えないだろうと正宗は察しているようだった。だが、孫堅が自ら鈴を求めて来たのなら正宗は迷う必要は無かった。

「孫仲謀、私の真名を預けよう。私の真名は『正宗』だ」

 正宗は孫権に言った。

「正宗様、謹んでお受けいたします。私の真名は『蓮華』です。私の真名をお受け取りください」

 蓮華は正宗に真名を預けた。

「蓮華、よろしく頼む」

 正宗の言葉に蓮華は頭を下げ拱手した。

「甘興覇、お前にも私の真名を預けたいと思うが受けてくれるか?」

 正宗は徐に蓮華から甘寧に視線を移した。甘寧は突然のことに動揺していた。

「私でしょうか」
「甘興覇、お前しか居らぬだろう」
「私如きが清河王の真名をお預かりするなど分不相応かと」

 甘寧は恐縮した様子で正宗に答えた。

「私の真名を預ける相手は私が決める。お前が恐縮する必要はない。私の真名を受けるのは嫌か?」

 正宗は甘寧に対して優しい表情で見た。甘寧が蓮華に視線を向けると、蓮華は軽く頷いた。

「正宗様、真名しかと預からせていただきます。私の真名は『思春』と申します」
「思春、これからよろしく頼むぞ」
「ご期待に添えるように頑張ります!」

 思春は正宗に力強く拱手して返事した。

「蓮華、孫文台の容態はどうなのだ?」

 正宗は蓮華に孫堅の病状を訊ねた。

「傷は問題無いですが、まだ身体が思うように動かないようです」

 蓮華は曇った表情で正宗に言った。正宗は思案した。大量の血を失った状況で傷を塞いだだけでは本調子には戻らないのかもしれない。

「乗りかかった船だ。戦が終わったら、孫文台の容態を見させてもらえるか?」
「本当でございますか! ありがとうございます」

 蓮華は正宗に感謝した様子で礼を述べた。だが、少しして彼女の表情が不安げな表情に変わった。思い過ごしか甘寧の表情も少し不安気だった。

「孫文台に病状で気になることがあるのか?」
「いいえ、先ほどお話しした病状が全てです」

 蓮華は慌てて不自然な笑顔で正宗に返事した。正宗は蓮華の様子に気にかかるものがあったが、それ以上何も言わなかった。



 明朝、襄陽城へ総攻めの準備は忙しなく行われ
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