暁 〜小説投稿サイト〜
Tales Of The Abyss 〜Another story〜
#29 国境を越えて
[2/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
越えて…… 凄い事だと思うよ。正直さ」

 アルもイオンに続いた。これまで辿ってきた道筋。
 決して狙った訳ではないが これまでの事を考えたら非常に楽だった。それは、皆と一緒だったから、楽を感じる事が出来たのであり、これが1人だったら。アニスの様に 1人だけだったら、と考えたらそう思ってしまうのである。

「そんなに褒めても何もでないよ〜アル! 私はルーク様のものだもーん? それに イオン様もご無事でよかったですぅ!」

 元気いっぱいのアニスを見て、安心すると同時に、アルとイオンは互いに苦笑いをしていたのだった。



「ところで… どうやって検問所を越えますか? ……私もルークも旅券がありません」

 ティアが心配そうに言っていた。
 そう、2人は不法入国をしたも同然だったから、旅券を持っている筈もないのだ。そんな時、ガイが一歩前に出た。

「心配要らないみたいだ。ほら、お迎えが着たみたいだぜ?」

 ガイが、検問所の方を向きながらそう言うと、全員が検問所の方に注目した。

 その先、ガイの視線の先には誰かがいた。こちらへと歩いてきている。
 遠目で見た感じでは男の人だろう、とアルは判ったが、生憎と誰であるかまでは 当然ながら判らない。でも、それも問題なかった。何故なら ルークが飛び出していったからだ。

「ヴァン師匠(せんせい)!!」
 
 擦り寄ってきているアニスを押しのけて、ルークは駆け出した。やや蔑ろにされてしまったアニスは、流石に可哀想かな? と思ったけれど、これまでのヤリスギ感を考えたら、別に問題ないだろう。

 だけど、穏やかな空気は一気に一変してしまう。
 何故なら、ルークよりも先に、彼の前にはティアが向かったのだから。


 武器を構えて。


「ヴァン!!」

 怒気を含む、その声は 明らかに敵意をむきだしにしていた。

「ええっ!?」

 突然の事だったのでアルも当然ながら驚いていた。だが、それと同時に ティアの目的の人物だと言う事がはっきりとしていた。
 
 ヴァンは、まるで動じる様子もなく、ゆっくりと歩いてティアの前まで行った。

「ティア。………武器を収めなさい、お前は誤解をしているのだ」

 そう静かに言った。

「誤解……?」

 その言葉をティアは、簡単には信じられないのだろう。決して警戒を解く事はなく、武器をヴァンにつきつけたままだった。

「……ティアさん」

 比較的傍にいたアルが、ティアの武器をそっと触った。下ろさせようと、促す様に。

「オレ、前にも言ったと思うけど…… やっぱり兄妹で争うなんて間違ってると思う……よ。……話を訊いてみて?」
「…………」

 アルの言葉に 肯定も否定もしない。
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ