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新オズの腹ペコタイガー
第十一幕その十一
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 お菓子とお茶を心ゆくまで楽しみました、食堂でのおやつの時間を過ごしてそれからは貯蔵庫に案内してもらって。
 そこで瓶に入っている蜂蜜をです、女王は皆に一つ差し出して尋ねました。
「幾つ必要かしら」
「その蜂蜜の瓶がだね」
「ええ、幾つ必要なのかしら」 
 女王はモジャボロに言いました。
「一体」
「そうだね、隠し味だからね」
「カレーのね」
「だからあまり多くなくていいけれど」
「腹ペコタイガーさんが食べるのよね」
「そうだよ」
 その通りとです、モジャボロは答えました。
「そして王宮の皆もね」
「腹ペコタイガーさんも食べるし」
 桁外れの食欲を誇る彼のことをです、女王はまずは考えました。
「そしてね」
「都の宮殿の皆もだよ」
「相当の量のカレーを作るわね」
「そうなるわね、じゃあね」 
 女王はモジャボロの説明を聞いて考えろお顔になって。
 そしてです、こう言いました。
「三つ位かしら」
「瓶をだね」
「それ位ね」
「そうだね」
 腹ペコタイガーも応えます。
「蜂蜜の量は」
「ええ、じゃあ持って行ってね」
「わかったわ、じゃあそれだけ頂くわね」
 トロットも言います、そして。
 女王にエメラルドを差し出してこうも言いました。
「これはお礼よ」
「あら、そんな大きなエメラルドを」
「蜂蜜を貰ったからね」
「何か悪いわね」
「いいのよ、とても美味しい蜂蜜を貰うんだから」
「それでなのね」
「ええ、貰ってくれるかしら」
「そう言ってくれるのなら」
 女王は微笑んでトロットの申し出に応えました。
「頂くわね」
「ええ、お願いするわね」
「王宮の中に飾らせてもらうわ」
「自分には着けないの」
 その身にというのです。
「それはしないの」
「ええ、私が付けても私だけが楽しんでるでしょ」
「けれど王宮に飾ったら」
「皆が見て楽しめるから」
「そういうことね、わかったわ」
「ええ、おれじゃあね」
 こうお話してでした、そのうえで。
 女王はそのエメラルドを受け取りました、そして。
 そのエメラルドのやり取りも見てです、アンは思ったのでした。
「何かね」
「どうしたの?」
「ええ、本当に昔の薔薇の国と違うってね」
 そう思ったとです、腹ペコタイガーにも答えるのでした。
「思ったわ」
「そうなんだね」
「ええ、まあとにかくね」
「うん、アンも今のこの国のことがわかったね」
「よくね、来てよかったわ」
 アンはにこりと笑って言いました。
「本当にね」
「それは何よりだね」
「また来たいわ」
 この薔薇の国にというのです。
「そしてこれからはね」
「これからは?」
「ウーガブーの国全体で仲良くお付き合いしたいわ」
「それはいいことだね」
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