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歌集「春雪花」
189

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 思い出の

  幽かなりしは

   冬空の

 儚き光に

    心しおれし



 なぜだろう…様々な思い出…彼といた時間さえ虚しく思えてしまう…。

 きっと…日の光をいつも雪雲が遮ってしまうから、心が萎れたためにそう思うのだろう…。

 春も近い晩冬の空…見上げども憂いは晴れぬままに…。



 恋しくも

  年の分かたむ

    この世をば

 いつ離れむかと

    思ふものかな



 年月とは、皆平等に過ぎ去るもの…。
 彼との歳の差もまた、変えようもなく…縮むはずもない…。

 この虚しい世界に生きて、私はただ一人侘しく過ごさねばならないのならば…いつ私は死ぬのかをつい考えてしまうのだ…。

 私が消えて無くなれば…私はもう何に思い煩うこともなく、彼を私のために傷付ける心配もないのだから…。




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