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ドラゴンクエストX〜紡がれし三つの刻〜正式メンバー版
一の刻・少年期編
第十五話「スラリンとの語らい、そして運命の城へ」
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リュカは眠りについたピエールを以前、スラリンが隠れ住んでいた洞窟に連れて行った。
スラリンが言うにはこういったある程度湿気のある暗闇の中が丁度いいらしい。

「じゃあ、僕とリンクスは父さんと一緒にラインハットに言って来るからね。ピエールの事、頼んだよ」
「うん、任せておいてよ。気をつけてね」
「クンクン、ガウーン」
「あはは、リンクスが付いてるなら安心だね」

村の入り口でスラリンはリュカ達を見送っていた。
リュカが魔物を手懐けていると言う事は前もって伝えているが、やはりスラリンは村の外に出るのが怖いらしく、ピエールの事も心配という事で村に残る事にしたらしい。

「ではサンチョよ、留守は任せたぞ」
「はい、お任せ下さいませ」

パパスとリュカはサンチョや村人達の見送りを受けてラインハットへと歩き出した。
その道中には数多くの魔物達が襲ってきたが、もはやリュカの相手になる様な魔物はいなかった。
ポワンから貰った鉄の杖はすっかりとリュカの手に馴染み、リンクスの石の爪も相手の体を切り裂いていき、パパスはそんな二人の闘いぶりを笑顔で誉めている。

リュカはパパスに誉められるのが嬉しいらしく、自分の装備をパパスに内緒で変えている事に気が付いてなかった。

もっとも、パパスは当然最初から気付いていて、スラリンとの約束もあるのでそこを問い詰める気も無かった。
日が暮れ始める頃にようやく大河の傍にある関所に辿り着いた。
目を凝らせば対岸にも同じ様な関所があり、この大河の地下通路を通じて行きき出来るとの事だ。

「うわ〜、大きな川だな〜」
「うむ、この川を渡った先が正式なラインハット領だ。この関所はレヌール王家が健在だった頃の名残ではあるが今も関所としての役割は続いている」
「レヌール城か。王様達、元気で寝てるかな〜」
「ははははは、何だそれは。お前達のおかげで静かに眠りについていらっしゃるさ」

パパスはそんなリュカの頭を一撫ですると詰め所に居る兵士に通行証を見せ、通行の許可を取ると泊まる為の部屋を用意してもらう。
泊まる部屋は対岸の関所の物を使う事にして宿泊許可証を受け取ると地下通路を通り、対岸へと渡りきった。

「リュカよ、今日は此処に一泊して明日の朝早くに立つとしよう。丁度夕暮れ時だから関所の上にある展望台に行こう、この時間の景色は圧巻だぞ」
「へ〜、そうなの?楽しみだな」

パパスの言う通り、その光景は見事な物だった。
茜色に染まる空、そしてその空の色を川面が映し出し川の流れがキラキラと光る。
リュカは暫くの間その光景に目を奪われていた。
パパスはふと横を向くと一人の老人が川の流れを見つめている事に気が付いた。
俯き、溜息を吐きながらのそれは何かを耐え忍んでいる様な感じであった。


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