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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
外伝 漆黒の修羅 後編(1)
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さり山の斜面を汚してゆく。

 大量の肉片と体液をぶちまけられたレッド―カペット、其処に黒鉄の巨人が着地する。
 無数の火花を散らしながら地表を滑る黒鉄の巨人の前に居るのは苦悶に染まった人面のような尾をもつ肉のサソリ、要撃級BETAだ。
 見かけによらない俊敏さ、4本の足を高速に動かし肉のサソリが距離が一気に縮めてくる。

『はぁッ!』

 短い吐気、戦術機を一撃で叩き潰す肉のサソリの甲殻に覆われた腕が振りかぶられたのだ。
 しかし、それが振り下ろされることはない。

 そのダイヤモンドを圧倒する硬度を誇る(かいな)。しかし、その胴体との付けねには短刀が突き立てられ、今まさに振り下ろされんとしている腕を止めていたのだ。


『ここまで懐に潜り込まれれば……!』手出しは出来まい。

 如何に戦術機を軽く叩き潰すほどの膂力を持とうが、その大振りに成らざる得ない構造上、振り上げた瞬間で止められれば何ら恐ろしくはない。ジャムった拳銃と同じだ。
 戦術機を叩き潰す要撃級の顔面に肉薄した黒き瑞鶴が銃口を突きつける。
 そして連続したマズルフラッシュと銃声、36mm劣化ウラン弾が連射され要撃級の顔面をズタズタに引き裂く。

 断末魔の悶えと共に要撃級の体が地面に落ちる。


 ビーッ!ビーッ!ビーッ!!
『――――!!』


 側面から警報、動体反応を検知したセンサーが機体に迫る脅威を感知していた。
 機体側面に回り込んでいたもう一体の要撃級がその破壊の一撃を放とうとしていた。
 ……回避は間に合わない。


『ならばッ!!!』

 フットペダルを思いっきり踏み込む。跳躍ユニットのロケットモーターが噴射、瑞鶴の機体が地面を蹴り飛ばし敵に向かい跳ぶ。


『―――――ッ!!!』


 要撃級との相対距離が0になる、その瞬間要撃級の体がひっくり返った。
 ロケットモーターの数十トンの機体を飛翔させる推力を乗せた跳び蹴りが要撃級の顔面に炸裂したのだ。

 それは純粋な質量兵器、如何に頑強な肉体を持とうが到底耐えられる衝撃ではない。
 ひっくり返ったまま、虫のように足をバタつかせる要撃級、顔面を砕かれて生きているあたりその生命力は尋常ではない。
 空かさず、その幼虫の肉のように半透明の無数の血管らしきものが透けて見える腹に突撃砲の斉射を見舞う。
 だが、数十万。あるいは数百万の内のたった数十匹程度を始末した程度では焼け石に水だ。


『そっちはどう?大分前に出ているみたいだけど……君は単機なんだから無茶しないで。』
「軌道爆撃が利いているようだ、山を越えてくる奴は対処できる範囲内だ。そっちはどうだ?」
『トンネル入り口の陣地確保は成功、でもトンネルは大きく拡張されている……さっ
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