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ドラゴンクエストX〜紡がれし三つの刻〜正式メンバー版
一の刻・少年期編
第十二話「氷の館の対決」
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「お前、やっつける」

「「「「やーーーーー!」」」」

「うわっ!な、何だお前達は!?」
「お前みたいな分からず屋は僕が相手だ!」
「誰が分からず屋だ!お前の方こそこんなに大勢で来やがって。この卑怯者!」
「僕は卑怯者じゃない!皆は手を出さないで、男同士一対一の決闘だ!」
「よく言った!行くぞぉーーっ!」
「来いーーっ!」

ザイルは斧を振り下ろし、リュカは鉄の杖でそれを受け止める。
リュカが鉄の杖を横に薙ぎはらうと、ザイルは後ろに飛んでかわし、再びリュカに斬りかかる。

そんな一進一退の攻防を幾度か繰り返し、リュカもザイルも傷だらけになって行く。
リュカの攻撃がザイルを打ち据えたかと思うと、ザイルの斧が一閃し、リュカのその頬に一筋の傷が刻まれる。

「ガウッ!」
「ダメだよ、リンクス!」
「ピイッ!」
「「「「やっ!」」」」

堪らず駆け寄ろうとしたリンクスをスラリンとピエール、ヒー達が押し留める。
リンクスは何故邪魔をするのかと攻め立てるが彼等は言う。

「リュカの邪魔をしちゃいけないよ。きっと怒られる」
「ピイピイ」

「リュカ、約束した」
「リュカ、一対一」
「リュカ、勝つ」
「リュカ、信じる」

「「「「やっ!」」」」

そんな皆の目を見てリンクスも気付く。
彼等だってリュカを助けに行きたいのだ、でも男同士の決闘だから手を出せない、皆辛いのだと。
ふと横を見ると、ベラも拳を握り締めながら歯をギリギリと強く噛み締めている。
だったら自分も見守り信じよう、リュカが勝つ事を。


ジャキーンッ、キンッ、キィーーンッ!


何度目かの斬り結びの時、ベラは気が付いた。
ザイルの目の色が変わって来ている事に。
赤く濁っていた目の色が何時の間にか青く澄んで来ているのだ。

「はあ、はあ、はあ…な、何でお前は俺の邪魔をするんだ!俺は爺ちゃんの為に妖精の村に復讐してやるんだ!」
「はあ、はあ…僕はね、そのおじいちゃんに頼まれたんだ!お前を助けてくれって!」
「爺ちゃんが?何で爺ちゃんがそんな事を……」
「馬鹿ーーっ!お前の事が心配だからに決まってるだろ!」

ガツンッ

「痛ぇーーっ!!」

リュカの拳骨がザイルの頭に決まり、ザイルは頭を擦りながら涙目で蹲る。

「何しやがる!!」
「あんなにいいおじいちゃんを泣かせるほど心配させたからだ、もう少し反省しなよ!」
「…爺ちゃんが…泣いてる?」
「そうだよ、ザイルは騙されている、取り返しがつかなくなる前に助けてくれって」
「俺が騙されてるだと?」
「お前、このまま春が来なかったらどうなると思うんだよ」
「どうなるって……、俺はただ爺ちゃんを追い出した妖精の村の奴らを困らせてやろうと…」

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