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アインクラッド篇
movement U 絶望と希望の二重奏
日の出
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常闇のアインクラッド第三十一層主街区シリウス。その外縁にあるテラスに俺達は来ていた。四十九層ボス討伐後、五十層主街区アルゲートにて開かれた年越しカウントダウンイベントに参加した後、初日の出を見るためにここに来て、夜が明ける前に恒例のデュエルを済ませよう、と言う話になり先程のデュエルに発展した訳だ。

「うん、やっぱりこれはいい鞘だね。」

「やけに硬い鞘作らせると思ったら………。盾代わりですか。」

「そんなところだね。」

シエラさんの愛刀、『煌之明星』の鞘は、俺が細工スキルで作ったものだ。作る度にカタナで真っ二つにされ、十数度目のトライで漸く斬れない物が出来たのだ。まさかこんな使い方のためとは知らなかったが。

「でも、アマギも良かったじゃない!もうあと一歩って感じで。」

「そうっスよ兄貴!次は勝てますって!!」

励ますソラの声に、別の声が被さる。やや小柄の体躯を、赤を多用した中国風の衣装に身を包む少年。ぶっちゃげて言えば西遊記の孫悟空のような服を纏うその少年の名は「マシラ」。我等が星屑之歌のメンバーの一人で、体術使いだ。俺のことを兄貴と呼んでいる。

「フフッ♪マシラ君は元気ね。」

続いて響くシエラさんの落ち着いたアルトでも、ソラの良く通るソプラノでもない、甘ったるい声の主は、金色に輝く髪が印象的な盾持ち片手剣士。リルだ。顔付きも明らかに日本人ではない彼女は、相変わらずのフワフワ笑いを浮かべている。

「アランも何か言ってあげたら?」

「………惜しかったぞ。」

リルの振りに応えたのは190cmはある巨躯を筋肉とフルプレートアーマーで包んだ居丈夫だった。名はアラン。星屑之歌唯一のタンクだ。

「アランさん!もっとなんか……ないっスか!!?」

「……………。」

この男、寡黙が売りである。

「それにしても、久々に真面目に攻略したねぇ。」

「ま…まぁ普段は皆ソロでやってますからねぇ。」

「むしろよくレイドに入れてくれたよな。」

実際、『閃光』には随分文句を言われたが、最終的に『聖騎士』殿の鶴の一声で何とかなった。

「ウフフ、アスナちゃんはいい娘だからしっかり入れてくれたわよ。」

「………リル、お前が遅刻したせいでヤバかったってこと自覚してるか?」

「あらぁ?フフフッ、気にしないの。」

「……アマギ、言うだけ無駄だ。止めとけ。」

「君達、そんな事より………来たよ!」

シエラさんの言葉に振り向くと、確かに、雲海の彼方が金色に輝いている。やがてゆっくりと太陽が昇る。雲海を紅く染め上げ、新しい年の始まりを告げる。と、視界の端にメール着信のアイコンがあった。開こうとすると、全員が同じ行動を取ろうとしている。一斉送信のようだ。開くと件名は「
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