第二十一話 授業中その十二
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「あそこで何か食べながらね」
「そうね。ちっちはどう?」
佐野先輩が私に話を振ってきました。
「あそこでお話の続きしない?」
「おごるけれど」
「ドーナツですか」
内心心動かされたのは事実です。私甘いもの大好きですから。
「どう?」
「今度はあそこで」
「そうですね」
私は少し戸惑いながらも先輩達に答えました。
「何か悪いですし、それって」
「だから。遠慮することはないのよ」
「そうそう」
笑って私に言ってくれました。
「先輩は後輩を可愛がるもの」
「だから。気にしないのよ」
「先輩は後輩を可愛がるもの」
高井先輩の御言葉がここで心に刻まれました。
「そうなんですか」
「そうよ。美紀ちゃんだってそうじゃないの?」
「ちっち随分よくしてもらってるでしょ」
「あっ、はい」
これは本当のことです。長池先輩が一緒のお部屋でどれだけよかったか。いつも優しくしてくれるし困った時は助けてくれるし。怖い人だって聞いても私には優しい先輩です。
「美紀ちゃんみたいにね」
「だから私達もね」
この御二人も私達の間では優しい人達です。奇麗で優しくて。女の人はこうありたいなって思わせるようなとてもいい方々なのです。
「遠慮することはないから」
「どう?」
「いいんですね」
おずおずと先輩達に対して尋ねました。
「それで。その」
「だから。遠慮はいらないのよ」
「ドーナツよ、ドーナツ」
佐野先輩が特にドーナツがお好きなようです。それがはっきりとわかりました。
「オールドファッションにしましょう」
「私はエンゼルショコラ」
ちなみにどちらも私の大好物だったりします。ドーナツなら何でもなんです。
「じゃあそれでね」
「はい」
何だかんだで楽しい日々です。一年生は大変ですけれどそれでも。本当に優しい先輩達で何よりです。私もそんな先輩になりたいと思っています。
第二十一話 完
2008・8・4
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