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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三十一話 真相(その1)
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績を奪い取る傾向はあっても他者に功績を譲る風潮は無い。確かにヴァレンシュタイン准将のしたことは珍しい事だった。それだけに素直に喜べない。私の胸を苦いものが満たす。

「誰なのかしら、その奇特な方は」
「エーリッヒ・ヴァレンシュタイン准将です」
「ヴァレンシュタイン……そう、彼が……」
「? ご存知なのですか」
「ええ。私個人がというより、ヴェストパーレ男爵家がヴァレンシュタイン准将とかかわりが有るの」
「?」

妙な話だ。名門貴族の男爵家が平民のヴァレンシュタイン准将とかかわりがある? ラインハルト様もアンネローゼ様も不思議そうな顔をしている。
私たちの疑問を感じ取ったのだろう。男爵夫人が話し始めた。

「ヴァレンシュタイン准将の父親、コンラート・ヴァレンシュタインはうちの顧問弁護士だったのよ。あの事件で殺されるまでは」
「あの事件?」
「知らないの?、貴方達…そう、知らないのね…」

私はラインハルト様、アンネローゼ様を見た。二人とも顔に疑問符が浮かんでいる。
「昔、リメス男爵という貴族がいたわ。コンラート・ヴァレンシュタインはリメス男爵家の顧問弁護士もしていたのだけど……


 男爵夫人が話してくれたリメス男爵家の相続問題に絡む殺人事件は陰惨としか言いようが無かった。人間はそこまで醜く成れるのか。
「八年も前の事ですものね。まだ判らなかったかも知れないわね」
八年前……アンネローゼ様が後宮に上がり、私とラインハルト様は軍幼年学校に上がった歳だ。自分たちのことで精一杯で他者の事に注意を向ける余裕など無かった。 

「では、ヴァレンシュタイン准将のご両親は、ヴァルデック男爵家、コルヴィッツ子爵家、ハイルマン子爵家のどれかに殺されたと言うことですか」
「おそらく、ほとんどの人がそう思っているでしょうね」
男爵夫人の顔には疲れたような色がある。

「ほとんどの人? 男爵夫人はそうは思っていらっしゃらない?」
「ええ」
どういうことなのだろう。未だ他にも何か有るのか。
「私は、あの二人を殺したのはカストロプ公だと思っているの」
「カストロプ公!」


オイゲン・フォン・カストロプ公爵、現在帝国の財務尚書の地位にある。地位を利用した職権乱用によって私腹を肥やしていると聞くが、彼がどう絡んでくるのか。

「カストロプ公爵家は大貴族でしょう。当然、親族も多い。彼の親族の一つにキュンメル男爵家という家があるの。当代の男爵はハインリッヒ、まだ十代なのだけど生まれつき病弱で宮中には一度も出た事が無いの。先代のキュンメル男爵も体の弱い人で亡くなる前に彼の事を親族の一人であるマリーンドルフ伯爵に頼んだわ。本来ならばカストロプ公に頼むべきでしょうね。でもそんな事をすれば、あっという間にキュンメル男爵家は無くな
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