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いつものおばさん
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第一章

                     いつものおばさん
「我が国を害せんとする悪辣なる狼の如き」
「おお、またこの人か」
「この人なんだな」
 日本人達はだ。ある国のニュースキャスターがテレビに出るとだ。いつも妙に楽しそうな声をあげるのだった。それは何故かというとだ。
 その強烈な個性故にだ。非常にヒステリックな喋り方で過激というか不自然な形容詞を多用するそのキャスターは最早日本の誰もが知っていた。名前は知らなくともテレビを出ればあああの人か、と気付く様なだ。そんな人である。
 そのキャスターの母国も非常にユニークというかその存在自体がある意味においてネタというような国だがこのキャスターの人もだ。ネタという意味で非常に人気がある。そしてこの人を見てである。日本人達は喜ぶのだった。
「相変わらず無茶苦茶なこと言ってるよなあ」
「日本語に訳するのも大変だよ」
「けれど観ていると妙にな」
「面白いんだよな」
 何しろこの国のキャスターは本当にこの人しかいないのではないかと言う位出て来るのだ。それで知られない筈もない。しかも個性といううえでは申し分ない。日本人の下手なキャスターより有名であり人気者になってしまっている。だが、であった。
 急にだ。このキャスターが出て来なくなったのだ。もう一人いるだ。痩せた男の人ばかりが出るようになってしまった。そうなるとだ。
 日本人達は妙に寂しいものを感じた。いつもその奇妙な国の報道になると出て来て奇声を喚くユニークな人が出て来ないとだ。妙な寂しさを感じざるを得なかったのである。それでこんな話がネット等で出た。

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