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シークレットゲーム 〜Not Realistic〜
温もり
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――そして 同刻別の場所にて。


 悠奈と刀真は見回りに行くというのは名目。本当の目的は襲撃者に備えて武器を手に入れておきたいと言う事だった。既に2人とも1丁ずつ持ってはいるが、他のメンバーがわからず、少なくとも1人は好戦的だから、まだ心もとないと思ったのだろう。それを言い出したのは悠奈からであり、刀真自身は、さほど不憫に思っていないのは又、別の話。

「………当たり、だな」
「そう見たいね」

 刀真は悠奈が掘り起こした≪それ≫を見てそう言っていた。手に握られているのは拳銃。恐らくは世界でも最も有名な銃として名が通っている物。

「ベレッタM92FS。……比較的扱いやすいものだな。使用自体は問題ないのか?」
「ええ。モデルガンで練習もしてるし……、初めてでもないからね」

 悠奈は過去を思い出すように遠い目をしていた。
 あまり、思い出したくないが……、忘れてはいけない事とも思っているのだろう。

「だが……解っているよな?」
「ええ……。武器を持ったところで、努々油断しない事。近接戦闘では特に」
「解ってるなら良い。……抑止力の武器、か」
「え?」
「いや、何でも無い。さぁ、今日の所はこれくらいで良いだろう?……修平あたりが同じような行動を取ってるかもしれんからな」

 刀真はそう言うと、背を向けた。
 悠奈はその意味がいまいち解ってなかったようだ。

「修平が?」
「ああ、何やらメモリーチップを隠し持っていたのを見て……な」
「………」
「その時なぜ止めなかったか、……か? アイツは、《あの少女》を守りたいと強く思っているようだ。自分の命よりも大事だと思ってるんだろう。……そう言う人間を見るのは、正直好ましい。危険だとしても妄りには否定したくは無い。……あまり 思い出したくない事はあるがな」

 少しだけ……この時少しだけ、刀真の闇を垣間見た気がした。

 この男も、私と同じ、いや……それ以上のモノを背負っているのだと。

「……刀真は、私と≪同じ≫なんだよね」
「………」
「アンタも、私と同じ苦しみを味あわされた……って事?」

 悠奈は、気づいたら刀真の背中。背中に手を当てていた。

「……さぁな。だが、言える事があるとしたら……」

 刀真は自身の手を見た。開き、そして握り締める。


「オレはお前とは違う。……根本的に違う。それに……」


 そう言うと、月夜の空。月明かりの下で振り返った刀真。ゆっくりと微笑む。


「オレは≪死神≫だ。お前達とは違う。」


 また、その言葉を訊いた悠奈は少しだけ 目を見開いたけど、初めての時の様な反応はしなかった。

「死神って……、まーた、そんな事言って」

 悠奈は苦笑いをしていた。
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