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ソードアート・オンライン リング・オブ・ハート
33:死神は
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「ハァッ……ハァッ……!!」

 俺は今までにない程の速度で地を蹴っていた。それは最早駆けるというより、一歩で数メートル程飛ぶ形での全力疾走だった。
 その原因は他でもない、今、俺の視界の脇に表示されているモニターにあった。
 数分前にハーラインと分かれた後、アスナ達の安否をマップ表示で確認しつつ駆けていた途中、そのモニターに異変が起こったのだ。
 リズベットとシリカのアイコンに状態異常の反応が現れて動かなくなり、反してアスナのアイコンは高速かつ小刻みに動いていた。
 戦闘に入っているのだ。……恐らくは死神との。
 そして俺の現在位置も、アスナの位置へと急速に近付きつつある。
 その距離はもう、数百メートル。接触するまで数秒後の所まで。

 ……そう、もう目の前の木々の間に、アスナの目立つ紅白の制服と見慣れたしばみ色の長髪が見て取れていた。

「アスナーッ!!」

 そう叫びながら俺は林を突き破り、それと同時に剣を勢いよくジャリンッ、と背の鞘から引き抜いた。

「キリト君!! ……うっ!?」

 俺の叫びにアスナは一瞬こちらを見るも、直後何者から振り下ろされた《武器》をレイピアで苦渋の声と共に受け止めていた。

 それは……恐ろしい程に長い刃渡りを持つ、《大鎌》だった。

 ここで初めて、俺はようやく……この事件の犯人と対面を果たした。

「《死神》……!!」

 鋭く光る刃以外は真っ黒の、シンプルで巨大な、まさに誰もが想像する……死神の鎌。

『……………』

 カーソルを犯罪色であるオレンジに染める、その沈黙の持ち主の姿もまた、黒一色。フードとマントで顔と体の全てを覆っていた。
 そして、死神の体を包む……俺も今まで見たことがない程の禍々しい赤黄色の《ステータス上昇エフェクト》。それはヤツの身の回りを這いずるようにうねうねと湾曲し旋回しており、ヤツの不気味さをさらに大きく加味していた。

『……………』

「う、くっ……!」

 アスナとの鍔競(つばぜ)り合いに死神は、難なくアスナのレイピアを押していく。アスナのブーツが見る見る地面に埋もれていく。彼女は筋力値を二の次としているスピード型とはいえ、攻略組でもトップクラスのレベルを誇る《閃光》の剣を容易に押し進むとは……凄まじい筋力値だ。

「く……!」

 押し切られそうになったアスナは敏捷度に物を言わせて大きくバックステップして逃れ、一旦大きく距離をとる。見ればそのHPは三割方削られてしまっている。

「アスナッ、リズとシリカはっ!?」

「二人はそこにっ……死神から麻痺毒を食らって……!」

 林から抜けた、このさして広くない空き地を俺はここで初めて見渡して…………言葉を失った。

「ううっ……体が
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