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心理
2部分:第二章
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第二章

「すぐにな」
「そうですか。すぐにですか」
「そう、すぐにな」
 今はこう言うだけだった。とにかく今夜だった。その夜に。二人はまた事故現場に来た。既に遺体も運ばれ解剖に回されている。血も処理されていた。
 二人は現場の物陰に隠れていた。そのうえで見ているのだった。
 その中で岩隈は。自分の隣にいる梨田に対して問うのだった。
「来るんですかね、それで」
「絶対に来るよ」
 梨田は言い切った。上の線路から電車が通り過ぎる音が聞こえてくる。その音がやけに大きく感じられた。暗がりの中にかなり響く音だった。
「間違いなくね」
「はあ。そうなんですか」
「さて、それじゃあ」
「それじゃあ?」
「ほら、これだよ」
 梨田は岩隈にあるものを出してきた。それは缶コーヒーだった。
「まだ待つからな」
「待つんですか」
「そうだ。だからこれはだ」
「有り難うございます。早速」
「ああ、違う違う」
 飲もうとする彼を制止する梨田だった。
「ここで飲むものじゃないんだ」
「えっ、飲まないんですか?」
「湯たんぽだぞ、これは」
 それだというのである。
「寒いからな。これを持ってあったまるんだ」
「その為のやつだったんですか」
「そうだよ。まずはそれだよ」
 こう話す梨田だった。
「それでいい加減眠くなったらな」
「その時に飲むんですね」
「もう冷えてどうしようもなくなってからな」
 もう一つ述べる梨田だった。
「飲むんだよ」
「わかりました」
「今夜で。そうだな」
 梨田はここで自分の左手を見る。そこには腕時計がある。
「もう一時間程した来るな」
「一時間ですか?」
「それ位だな。それで来るな」
 こう述べるのだった。
「犯人がな」
「そこまでわかるんですか」
「そうだ。今九時だな」
「はい」
「六時から張り込んでいるがな」
 つまり三時間程度張り込んでいるのである。既に食事は済ませそれで身体を温めておくことも忘れてはいない二人だった。当然これも梨田の考えである。
「まだ来ない。それで今は九時だな」
「それも何かあるんですか」
「あるさ。まあこれも後で言う」
「わかりました」
 ここでも何故それがわかるかは言わない梨田だった。隠れたまま犯人を待つ。既に彼等の中では容疑者ではなかった。犯人であった。
 その犯人が何時来るかだった。しかしまだ来ない。岩隈はそろそろ一時間経つと思っていた。本当に来るかと思ったその時だった。
「あっ」
「来たな」
 梨田は言った。そこに一人来たのだ。
 青く短いタイトスカートのスーツを着て髪を茶色に脱色してショートにした背の高い女である。化粧は濃くとりわけ目張りがしっかりしている。梨田は彼女を見て言った。
「あれが犯人だ」
「あ
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