アインクラッド 後編
剣煌く霧の女神
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ってる!」
短いやり取りの後、二人は一旦離脱して距離を取る。すると、巨大な両刃剣を高々とかざした女神の踵が浮いた。そのまま剣先が天井に着きそうな高さまで上昇したところで、今度は巨大な剣の全体が白く光り輝き始める。
「――天翔ける光の剣たちよ。愚かなる人間たちに滅びを与えよ!」
そして激しく部屋中に響き渡った声に呼応するように、地面のあちこちが白く円形に光り――
――違う!
「跳べ!」
マサキの鋭い声が部屋の空気を切り裂いてエミに届くのとほぼ同時、エミは横っ飛びでその場を離れた、まさにその直後。直視することすらかなわぬ猛烈な閃光が、寸前までエミの立っていた場所を焼き尽くした。
受身を取りつつ降り注いだ光の帯に目をやったエミは、間一髪脱出できたことに心から安堵した。先ほど地面が白く染まったのは、地面が光ったからではなく、空からの光に照らされたから。つまりは、最後のあがきとも言うべき攻撃の着弾地点を示していたのだ。
起き上がった自分の足元に再び光が映っているのを感知し、エミは素早くその場を離れる。先ほどの遠距離攻撃よりよほど濃密ではあるが、今回はたった二人で挑んでいることもあって、壁際に追い詰められない限りは何とかなりそうだ。
これほどの大技を繰り出したのだ、この後女神はかなり長い硬直時間を課せられるはず。それまで回避に徹し、硬直と同時に反撃に転じて一気にボスのHPを削りきれば……勝てる。
「……うん」
自分の戦術に納得がいったエミは、一度大きく頷くと、次々と表示されるビーム攻撃の着弾地点をジグザグによけて走る。
このビーム攻撃が始まって、もう十秒近くが経過している。そろそろ攻撃も止むはずだと踏んで、剣を天にかざし続ける女神に目を向け、その時気付いた。女神のHP残量が、レッドゾーンまで削られていることに。
ビーム攻撃に自分のHPを削る特殊効果でもあったのかと思ったが、そうではなく。エミよりずっと高速で移動していたマサキが、ビームの間を縫って女神にダメージを与え続けていたのだ。
「うっそ……」
これにはエミも思わず目を丸くして驚愕の声を漏らした。
速く走れば走るほど、咄嗟の攻撃や障害物への対処は難しくなる。その攻撃や障害物を認識してから「どのように回避するか」という判断を下すまでに費やせる時間が短くなるからだ。だがマサキは、あれほど高速で移動していながら的確に攻撃を掻い潜って反撃を加えている。
思い返してみれば、エミが女神を攻撃している最中にマサキとぶつかりそうになったことは一度もなかった。つまり彼は、女神の動きもエミの動きも一瞬で見切り、その上で途切れることなくダメージを与え続けていたということになる。
マサキのおよそ人間業とは言い難いスピー
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ