暁 〜小説投稿サイト〜
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災を堕とす者達
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()()()()()っている前提があったなら、だ」

「………………………………ぇ?」

「皿の中に入ったのが一つなら問題ない。だけど、それが二つになったらどう?容量を――――許容量を超えたスペックを要求されたパソコン(ハード)がどうなるか……分かるでしょ?」

天を、マークUの巨体を見上げていたレンが顔を巡らせ、やっと何かに気付き始めたユウキの顔を直視する。

その、どこか現実離れした透徹した視線に、思わず少女の心が跳ねると同時。



ズン。



大地を突き上げる、蠕動のような不気味なうねりが足裏から伝わってきた。

「こ、これって……」

ユウキの呟きに、遠くのキリトに手振りで応えていた少年はこくりと頷く。

「……参ったなー。強制終了だったら簡単だったのに、本格的に暴走に入っちゃったか」

「ど、どうするの!?レン!」

「決まってる」

少年は変わらぬ口調でそう言った。

その言葉の前に無限の行間を挟んで、《冥王》は宣言する。

「ブッ潰す」










天を衝く異質な叫びが響き渡る。

それに呼応するかのように地面から突き上げるような振動。いや、衝撃か。

中身がなくなったマークUは今度こそ完全に制御を失い、メチャクチャに振り回された巨腕は轟音とともに景色を塗り替えていく。

地殻が抉り取られ、土砂崩れ級の砂岩が一塊となって降り注ぐ。山麓エリアに辛うじて生えていた灌木類が、もののついでの感覚で空に消えていく。

常識を外れた光景。

法則を度外視した戦い。

だがそれを目前にしても、シノンの心は不思議と静けさを手放さなかった。

別に現実逃避しているとか、目の前の現実を脳が受け付け拒否しているとか、そういうことではない。

全てわかっている。だがその上でなお、思う。思ってしまう。

なんだ、この程度か、と。

図体がデカいモンスター(クリーチャー)など、通常フィールドでどれだけ戦ったことか。

それこそ、首都SBCグロッケンの地下に広がる巨大な遺跡ダンジョンの奥深くで出くわした、ヘカートをドロップした異形クリーチャーも結構な大きさだった。それに単純な大きさならば、この間この双子が初討伐を成し遂げたという《デトックス・ホエール》も相当な巨体だったと記憶している。

双子とキリトの訳の分からない説明によれば、アレの中には人の意思が介在しているようだが、ならば今駄々っ子の地団駄のような動きは何だ。初心者の練習相手であるダチョウ豚のほうがまだ整合性と合理性の取れた動きをする。

ビリビリ、と頬を掠める衝撃波に、しかしシノンはどこまでも冷めた視線を返した。

―――そう。
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