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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十五話 予感
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 会戦終結後、帝国軍総旗艦ヴィルヘルミナより艦隊集結命令がでた。それと同時に将官会議の開催が通達され今後の作戦行動が協議される事になった。将官会議が開催されるという事は作戦行動は継続されるという事だ。ヴァンフリート4=2へ行くのか、それとも本隊と行動を共にするのか……。

■ 帝国暦485年 3月22日 帝国軍総旗艦ヴィルヘルミナ

 会戦から一日経ち、将官会議が開かれる会議室は微妙な空気に支配されていた。本来なら勝ち戦に沸き上がっても良いはずだが、一部を除いて白けた表情で互いを見やっている。ちなみに除かれた一部の人間というのはグリンメルスハウゼン艦隊の人間で、一人を除いて皆能面のような無表情だ。理由はわかっている。だから別な事を考えよう。

 第六艦隊のムーア中将があっさり降伏したのは、旗艦ペルガモンが動力機関を破壊され動けなくなった事が原因だった。戦いたくても戦えない状態になったのだ。自決しなかったのは周りが止めたからで無責任だと責められたそうだ。人望無さそうだもんね。ジャン・ロベール・ラップは居なかった、まだ病気療養中らしい。ジェシカ・エドワーズも幸せになれるかもしれない。俺の好みじゃないが、原作ではちょっと可哀想な一生だったからね。
 
 捕虜を尋問していてとんでもない事が判った。第四艦隊司令官、パストーレ中将が更迭され国内の補給基地の司令官になっている。原因はアルレスハイム星域の会戦だ。あの会戦の指揮官がパストーレ中将だった。あの時パストーレ中将は艦隊を二分して行動していたらしい。三千隻を別働隊としヴァンフリート星域を哨戒させ、本隊を自分で率いてアルレスハイム星域を哨戒中だった。

尋問した捕虜はヴァンフリート4=2に補給基地が有るとは言わなかったが、別働隊はヴァンフリート4=2を調べていたのだろう。帝国側に察知されないために艦隊は小規模にせざるを得なかった。そしてヴァンフリート星域から帝国の眼をそらすためにパストーレ中将率いる第四艦隊本隊がアルレスハイム星域に進出した……おそらくそんなところだ。

 パストーレがいなくなり、ムーアが消えた。原作からかなり乖離しているような気がするがアスターテ会戦はどうなるんだろう? トリューニヒト派にとっては打撃だけど、これが同盟の政治軍事にどう影響するのか。主戦派は勢力を減衰させるのかどうか。

 ミュッケンベルガー元帥が司令部要員を引き連れて会議室へ入ってきた。俺達は敬礼して迎える。ミュッケンベルガーの表情は苦虫を潰したような表情で答礼もおざなりなものだった。気持ちは判る。ミュッケンベルガーは新編成した宇宙艦隊の実力を試したかったのだ。それなのにグリンメルスハウゼン艦隊が勝手な行動を起して勝ってしまった。

 おまけにこの会戦で帝国軍が受けた損害はほとんどがミュッケンベルガー率
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