Chapter 5. 『あんたを倒して俺は帰る』
Episode 31. Instant Death・Immortal Life
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「ん」
既に戦闘用の手甲と足甲を装備し、腰に紅色の刃を備えた短剣を帯びたリーナが首肯する。俺も各種防具を身に着け、背には『鎖坐切』を背負っている。確かに、今回の相手は強いのかもしんねえ。けど、気負いは微塵もない。相手が強かろうが弱かろうが、やることは変わんねえ。いつも通りに……。
「戦って、勝つ。そうでしょ?」
「……ああ、そうだな」
「あれ? いつもの『俺の心を読むな!』的なツッコミは?」
「ねえよ。二年も繰り返してると、流石にツッコむこと自体に飽きてくる」
「つまんないの。こうなったら、一護の心のボイスを常時実況でもして……」
「プライバシーの侵害も大概にしろよテメエ!!」
耐え切れずツッコミをいれると、リーナはさも満足したような微笑を浮かべた。変にカチコチになってねえのはいいことだが、こうも緊張感がねえってのも、なんかアレだな。
短くため息を吐いた俺は、既に玄関を大きく開け放って外へ出て行ったリーナに続いて、ホームを後にした。
◆
一時三分前に集合場所に着くと、既にたくさんの攻略組連中が集まっていた。聞いていた人数は三十二人だが、そのほとんどはもう来ているように見える。
意外と場の空気は柔らかかった。悪条件下でバカ強いであろうボスと戦うってことにメンタル弱めの連中が緊張を強いられてるんじゃ、なんて勝手に予想してたんだが、杞憂だったらしい。
まあ、それは多分、
「――無私の精神はよーく解った。じゃあお前は戦利品の分配からは除外していいのな」
「いや、そ、それはだなぁ……」
広場のど真ん中で呑気に駄弁ってる連中――キリト、アスナ、エギル、クライン――のせいなんだろうが。
「よぉ、そこのウルセー四人。もうちょい自重しろよ」
「同意。新婚バカップルは、特に」
「おう、一護とリーナじゃねえか。バカップルって、おめえらが言えたことじゃないだろうに」
「そうよー、リーナの誕生会で貴方たちが桃色の空気をまき散らしたの、忘れてないんだから」
「お、桃色の空気だあ? おりゃあ知らねえぞそんなの――」
「死ねヒゲ」
「ガフッ!?」
「お、おいクライン……生きてるか? 圏内とはいえ、今の蹴りでお前の男の尊厳が潰れたように見えたんだが……?」
「心配すんなキリト。ヒゲ生やしたヤツってのは殺したって死なねえっつう決まりがあんだよ。第一、使う予定のねえモン潰したって、誰も損はしねーだろ」
「い、イチの字てめえ……」
リーナの脚撃をモロに受け、その場で蹲ってガクガクしながら怨嗟の籠った目で見てくる野武士野郎に俺は情け容赦のない視線を返してやる。いっそそのままリーナの足甲に踏んづけられて、ドMにでも目覚めちまえばいいのに。
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