暁 〜小説投稿サイト〜
白夜
第二章
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「本当に」
「何でもないの見てどうするんだよ」
「ここで生まれ育ったんなら白夜なんて普通だろ」
「何日も日が落ちないなんてな」
「他はどうか知らないけれどな」
「それはそうだけれどね」
 アルノルドもそのことはそうだと答えた。
「本当にね、ただ」
「ただ?」
「ただって何だよ」
「それでもって思って」
「それでもっていうのが気になるな」
「それも妙にな」
 クラスメイト達はその彼にさらに言った。
「好きな娘でもいるのかよ」
「ひょっとしてな」
「ああ、そういうのじゃないよ」
 クラスメイト達のその問いは否定した。
「ただ思うことがあるだけで」
「白夜にか」
「それだけか」
「それだけだよ、じゃあね」 
 それならと言ってだ、そしてだった。
 彼はこの日はこのまま学校生活を受けた、その白夜の中で。
 部活も終えて家に帰ってだった、風呂に入り夕食を食べて。
 自室に戻りだ、それから。 
 筆を出した、絵の具とキャンバスも。そしてそこに。
 おもむろに描きはじめた、それを何日か続けてだった。
 彼はその絵が完成してからだ、まずは両親にその絵を見せて尋ねた。
「どうかな」
「何だ、絵か」
「あんたが描いた絵なの」
「そうなんだ」
 その油絵を見せての言葉だ。見れば白夜の絵だ。それを描いてそうしてからだ、彼は両親に見せたのである。
「ずっと白夜を見ていたらね」
「描きたいと思ってか」
「それでずっと考えてたの?」
「そうなんだ、油絵なんてはじめて描いたけれど」
 それでもというのだ。
「挑戦してみたんだ」
「まさかな」
「あんたが絵を描くなんてね」 
 両親はまずは意外といった顔で言った。
「しかもな」
「そうよね」
 そしてだった、お互いに顔を見合わせて話した。
「中々な」
「いいんじゃない?」
「はじめてとはいうけれどな」
「そう思えないわ」
「上手じゃないか」
「よく描けてるわ」
「うん、じゃあこの絵先生にも見せてみるね」
 通っている学校のだ。
「そうしてみるよ」
「そうしてみろ」
「それでどうなのか聞いてみたらいいわ」
「専門の人にな」
「それでどうか言ってもらうといいわ」
「うん、じゃあね」 
 それならとだ、彼も頷いてだった。
 その絵を学校の美術の先生に見せてみた、すると。
 先生もだ、驚いて彼に言った。
「君は美術部じゃない筈だが」
「はい、バスケ部です」
 スウェーデンではあまり盛んとは言えないかも知れないが彼は室内のスポーツが好きなのでしているのだ。
「そちらです」
「それでも描いたのか」
「そうしてみました」
「はじめて油絵を描いたのだったね」
 このことをだ、先生は彼に確認した。
「確か」
「その通り
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ