暁 〜小説投稿サイト〜
男は今日も迷宮へと潜る
第三話 
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
をマサは口に咥え込む。
マサが指を動かしたその瞬間。
辺りに軽快な破裂音が響き渡った。
取り出した物は拳銃。それも殺傷力溢れる四十五口径。またの名をコルト・ガバメント
そんな物を口の中で暴発させて無事な訳もなく、マサの後頭部からは血と脳髄の混合物が噴出した。
弾丸の抜けたところには風穴が開いている。

そのときふしぎなことがおこった!
傷口はさも意思があるかのように蠢き、近くの組織同士が結合する。
グジュリ、グジュリと音を立てながら、数秒ほどで空いた穴は完全に塞がった。

「いってぇ・・・・・・が、問題はなさそうだな」

首をゴキリと一回し。いつもと変わらない。
うんざりするほど()()は絶好調である。

「まずは冒険者登録で・・・・・・次にファミリアに所属だったっけなぁ。武器はいらんし」

マサは拳銃を懐にしまい込み、ゆっくりと町に向けて歩き出した。

────

結論。30も半ばを過ぎた職なし、金なし、前歴無しのオヤジを受け入れようというファミリアは存在しなかった。
少なくともマサが訪れたところではの話だが。
良くて門前払い、悪くて罵倒つき。酷いとこでは水を被せられ追い返された。
流石に自棄になり建物ごと爆破してやろうかとも考えたが、今後のことを考えやめておいた。

兎角今日の宿代だけでも稼いでおこうと迷宮に潜ったりもしてみた。
最初は非常に好調だった。
懐のポケットから取り出した模造品のAK47はモンスターにも十分に通用したのである。

だがあくまで通用しただけであった。

モンスターを、ゴブリンを甘く見ていた。奴らは人間のように腕や足に数発くれてやったところで動きを止めなかったのだ。その上かなりすばしっこく捕捉するのも難しい。

苦心しながら二匹、三匹と倒しているうちに、新たなゴブリンが銃声を聞きつけ集まって来るやら壁から湧いてくるやらで。気がついたときには集まりに集まってざっと十五、六。
弾が切れてヤバイと思ったそのときには対策を取る間も無く、集団リンチのような有様になってしまったのである。
死にはしなかったものの、齧られ、再生した部分をまた齧られ、という激痛ループには参った物だ。

前々から体内に仕込んでいたC4を起動して延々と貪られる余生だけは回避したが、爆風により魔石はどこかへ飛び散ってしまい、結局稼ぎを得られなかった。
少しでも幸運だったのはオマケの影響か、飛び散った肉体と共に身に着けていたものまで再生したことぐらいだろうか。

そんなこんなで日も沈み、マサはバベル前のベンチに座り途方に暮れているのであった。
金も寝床も確保できず、きっとこのままここで野宿する羽目になるのだろう。
現在いる広場から丁度見える大通りは人で溢れている。上手く事が運
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ