第二十話 二学期その十一
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「勝手に決めてもらっても」
「けれど実際にちっちって弟さん欲しくないの?」
「別に」
その問い掛けには首を横に振ります。
「そんな気持ちはないわね」
「そうなの」
「どちらかというとお兄さんね」
私はどちらかというとそうなんです。やっぱりお兄さんが欲しいんです。そんなのは絶対に手に入らないんだってわかっていますけれど。
「欲しいとしたら」
「お兄さんねえ」
「そういえばちっちって」
「また何なの?」
「妹タイプでもあるわね」
「それが不思議よね」
それを言われます。自覚はないですけれど。
「背が低いせいかしら」
「はっきり言えばメイドさんみたいよね」
「メイド・・・・・・」
何か言われた側から理解不能になってきました。
「私がメイドって」
「ああ、そうね。声可愛いし」
「そういう格好も似合いそうだしね」
「あのね、メイドって」
話を聞くだけで異様に嫌らしい感じがします。どうしてでしょうか。
「私はそんなのにな」
「そんなのっていうけれど人気なのよ」
「男の子にね」
「人気!?」
「最近喫茶店でもあるじゃない」
メイド喫茶でしょうか。そういえば最近そんなお店が出て来ているってのは聞いています。お客さんを御主人様とか言ったりするそうですけれど。
「言ってる側から思うけれどちっちって」
「メイドの格好似合うわよね」
「かなりね」
凄い話になってきています。しかも一方的に。
「その格好で彼氏に迫ってみたらどう?」
「絶対にいけるわよ」
「あのね」
何だかとても腹が立ってきました。本当に冗談じゃないです。何でもかんでもそうして変にふざけて、っていうかメイドって何なんでしょうか。
「どうして私がメイドに?」
「彼氏ゲットにするのにコスプレはねえ」
「当然じゃないの?」
「何が当然なのよ」
そんな常識は聞いたことがないです。何時何処で誰が作ったんでしょうか。変な趣味にしか思えないんですけれど、少なくとも私には。
「メイドにしろ。おかしいでしょ」
「おかしい?」
「ちっちは考え過ぎ」
また言われました。
「制服だってそうでしょ」
「制服も?」
「そう、制服」
自宅生の一人が私に言います。
「制服だってそうよ。この服に憧れる男の子って多いんだから」
「天理高校の制服に」
好きなことは好きなんですけれどそれでも夢中になるようなものじゃないと思います。私にとっては制服はあくまで制服でしかないんですけれど。
「ベストにブレザーがいいっていうのよ」
「そうかしら」
「そんなにデザイン悪くないでしょ」
「まあそうだけれど」
親里高校の制服と比べてもあれですけれど。それでも。
「だから結構人気なのよ。奈良県でもね」
「奈良のことはよく知らないけ
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