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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
第百二六幕 「星屑の一撃作戦」
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 長い時間をかけてやっと仕掛けることが出来た『攻撃』によって吹き飛んだ相手を、セシリアは油断なく追跡する。

「それにしても、読みは大筋で当たっていましたが、有線式は予想外でしたわね……通信電波で攻撃の予兆を捉えるつもりでしたが、結局は山勘とバリア頼みになってしまったわ」
『ですねぇ。今時有線なんて、ハイテクとアナクロの両方ですか……上手いこと考えてます。盲点です』

 当初のセシリアの推理ではこうだった。

 敵が発砲しているのに砲身の熱反応が出ないのは、単純に砲身を持たない方法で弾丸を発射しているから。例えばそれこそ半誘導弾の『グレール・タンペット』と管制の話に出た『ジャイロジェット・ピストル』を上手く組み合わせれば、無線を飛ばしただけで銃身なしに勝手に発射される弾丸を作ることが出来る。
 この方法は地上ではまるで役に立たないが、無重力の宇宙ならば話は別だ。宇宙空間に予めPIC技術を応用して固定された弾丸を散りばめておけば、後はその弾丸の射線上にターゲットが来た際に発射のシグナルを出せばそれだけで狙撃が出来る。銃身は存在しないので熱は籠らないし、シグナルを出す本体は一ミリたりとも動く必要がない。
 つまり、探知できない砲撃というのは、単純に普通の弾丸なら存在する砲身や発射装置が存在しないスタンドアローンな弾丸による砲撃だと予測した。

 では、これを使うメリットは何か。それはただ一つ――予め弾丸を設置する方法があれば、自分が一切動く必要がないということだ。機体に宇宙対応のステルス機能さえあれば、後は武器の連射性という欠点を除いて完全にその姿を隠匿することが出来る。

 ただし、そのステルスを完全にすることは出来ない筈だ。
 宇宙という空間には『宇宙線』と呼ばれる放射線や磁気などが荒れ狂っている。抵抗の少ない地上ならまだしも、宇宙では繊細なステルス装置の機能を存分に発揮できるとは考えにくい。余程『不思議な粒子』でもない限り、バリアで自機を護るのが精いっぱい。ISの索敵を完全に掻い潜るレベルの隠匿は無理だろう。

 まずカメラでの目視を完全に誤魔化せるような光学迷彩は無理だ。むしろ、それができるならこれほど臆病な戦法を取らないだろう。つまり、敵は身を隠す必要がある。

 ここが最大の問題だった。

『お嬢!俺には全く話の流れが分からないんだが、敵はどこに隠れてたんだ!?』
「知れたこと!宇宙でISサイズの機体が身を隠せる場所など一つしかありません!!」
『一つ!?俺には一つもないように思えるんだが!?』

 管制の疑問も当然だろう。セシリアも最初はそう考えた。
 このだだっ広い宇宙空間で、しかもカメラで目視が可能な敵が身を隠す場所などどこにあるだろうか。答えは『無し』。そんなことは不可能だ。そう、不可能
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