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消えた凶器
3部分:第三章
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第三章

「では」
「推理ですか」
「暫く動かない」
 こう言ってだ。自分の席に腕と足を組みだ。
 そのうえで眠る様にしてだ。思索に入ったのだった。
 そうして暫く経った。するとだ。
 警部は目を開けた。そのうえで警部補に言った。
「事件は解決したよ」
「しました?」
「さあ、執事のところに行こう」
 恰幅のいいその身体の胸を反らさせる。エルキュール=ポワロの様に。
 そのペンギンそっくりの姿でだ。彼は警部補に言ったのである。
「後は彼に事実を突きつけるだけだ」
「それだけですね」
「彼の犯行は全てわかった」
 こう言ってであった。警部補を連れてだ。屋敷に向かった。
 そこには執事がだ。一人で残された仕事をしていた。主のいなくなった屋敷はがらんとしだしている。その屋敷に来てだった。
 彼はだ。その執事に言った。
「全てはわかりましたよ」
「全て?」
「そう、全てです」
 胸を張ってだ。執事に言ったのである。
「貴方が犯人です」
「何を根拠に言っているのでしょう」
 執事は老人だった。白い髪がかなり薄くなっている。
 その皺だらけの顔でだ。彼は言ったのである。
「証拠はあるのですか」
「いい言葉ですね」
 警部は執事の今の言葉にだ。にこりともせず突っ込みを入れた。
 そしてだ。あらためてだった。
 執事にだ。こう言ったのだった。
「犯人の自白です」
「自白だというのですか」
「そうです。人は負い目があると開き直りを見せるものです」
 あえてだ。こう言ってもみせてだった。
「それが今の貴方です」
「何を仰っているのかはわかりませんが」
 執事は目を伏せながらだ。警部に返した。
「私は何もしていません」
「証拠がないというのですね」
「ないですね。何処にも」
「はい、今は」
 ここでだった。警部はだ。
 言葉を引き締めさせてだ。また執事に告げた。
「今はありません」
「では証拠はないということですね」
「いえいえ、ないですがあるのです」
「どういう意味ですか?」
「この屋敷の恐竜の屋敷」
 警部の後ろにいる警部補は見た。警部が今の言葉を言った瞬間にだ。
 執事の顔が強張った。それを見たのだ。
 その顔を強張らせた執事にだ。警部はさらに言ってみせた。
「アバラの骨が一本ありませんね」
「そうだったのでしょうか」
「化石。それはとても硬いものです」
 何しろ石だからだ。骨が石になったものだからだ。硬いのも当然だ。
「それで自分の孫を手篭めにしたファリーナ氏を後ろから殴って殺害し」
「・・・・・・・・・」
 執事は今は何も言わなかった。ただ警部の話を聞いているだけだ。
 その執事にだ。警部はさらに続ける。
「そしてそのアバラの化石は」
「・・・
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