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はて迷外伝 最強の剣と最強の盾3rd
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。お主たちが弱いなどという話ではない」

 トールは無骨で太い指を器用に使って丁寧に野菜を切りながら、一つ一つ説明してくれた。

「まず第一に、お主たちは普通の人間ではありえないほどの伸び代を持っていたことが原因だな」
「………俺とアーサーの伸び代、ですか?」
「うむ」

 切り揃えた野菜をフライパンに流し込んで強火で炒めながら、トールは野菜に調味料をかけた。ジュワァ、と食欲をそそるいい匂いが空の食卓に届き、お腹の虫が反乱を起こしたようにぐぅぅ、と鳴った。

「お主ら、オラリオに来た時点で既に相当強かったの。儂の店の常連連中を何事もなかったかのようにノしていたが、あやつらもレベル1の中では中の中程度の実力……決して弱卒だった訳ではない。それを叩きのめす実力があるというのが異常な伸び代を持つ証よ」
「まぁ、普通の人より強いかと言われたらイエスね……ユーリが子供の頃から馬鹿力でさ。そのユーリと一緒に遊んでたら私も段々と付いて行けるようになってたのよ」

 ユーリは背丈こそ普通より少し大きい程度だが、7歳頃には既に成人男性並み、10歳頃には村一番の怪力男になっていた。(きこり)をやらせれば斧が耐え切れずにへし折れ、村に現れた魔物を正拳突きで一撃即死。他にもユーリの怪力伝説は数多く存在する。
 そして、そのユーリをお供に引き連れて(友達のつもりだったんだけど、周囲には従者に見えたらしい)歩いていた私は『村の王女様』とか言われていた。王女じゃなくて王になるのと言ったら笑われたものだ。絶対に許さん、オラリオで出世して見返してやる。

「つまり、俺とアーサーは周囲の非恩恵持ち冒険者と比べても特別強いのか?」
「そうだ。お主らは儂が恩恵を与える前から強かった。……そして、そこに儂の恩恵が加わったことでお主らはさらに強くなった。恐らくだが、初期値はゼロでも実質的にはレベル1の上位程度の能力値をお主らは持っている筈だ」

 ……そんな風に褒められると、私もあんまり強いことは言えなくなる。自分が強い事くらいは知っているが、それを他人に認められるというのはまた違った嬉しさやこそばゆさがある。

「んん、ごほん!……それで、どうしてそうなるとステイタスの伸びが悪くなるのよ」
「それがもう一つの理由……『相対的経験値』だ」

 焼き上がった料理を大皿に盛りつけたトールは、それをテーブルの上にドンと置く。ほかほかの料理から立ち上る湯気と野菜の隙間から噛み見えるコンガリと焼けた肉。そこから零れる肉汁が、容赦なく食べ盛りの私の空腹を刺激する。
 トールは慣れた手つきで温めていたスープを人数分の器に注ぎながら説明を続ける。

「『相対的経験値』とはつまり、自分に比べて相対的に弱い相手から得られる経験値の量が減少するという話だ。逆に、自分よ
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