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執務室の新人提督
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のサラリーマンが居酒屋で一杯やったあとの言葉を吐く金剛の姿は、完全にそれその物であった。
 
「……うぅ……提督……てーいーとーく……金剛頑張ってるヨー……前にいきなりハグしてクラッシュさせちゃったけど、金剛頑張ってるヨー……シット、あの課長人の仕事ちゃんと見てないネー……自分の仕事をまずしっかりやれって話だろ、なー?」

 そして躁からの鬱も居酒屋のサラリーマンに良く見られる姿であった。そして何故か愚痴までサラリーマンの様になっていた。
 
「なんでこんな時に限って霧島一人で……」

 そう呟く霧島の姿は、伸ばされた背に反して完全に折れていた。今金剛の隣に居るのは霧島ただ一人だ。普段一緒に食べる比叡と榛名の姿はそこにない。比叡は陽炎姉妹達に誘われてお料理DVDの鑑賞会で、その後料理勉強会のついでに夕食を済ませると言って別行動だ。
 霧島の双子の姉である榛名は、伊勢と日向と一緒に空いている港で弁当を広げて夕食である。事情を知らない者が聞けばおかしな事をやると思うかもしれないが、史実を知っていれば言葉を失うだろう。最後の最後まで、着底して尚本土を守るため砲火を放ち続けた彼女達の絆は、何人にも断てぬ物なのだ。
 
 折れた霧島の姿を見つめる間宮の相も、苦笑こそ浮かんでいるがなんとも言えない物だ。何せ金剛が頼むのはただの紅茶である。これが本当にアルコールであれば適当なところでとめる事もできるのだが、紅茶の適当なとめ時など間宮は知らない。
 如何したものかと首を傾げる間宮の相には、しかし金剛を心配する色が添えられていた。隣にいる霧島も、今間宮食堂にいる他の艦娘達にも、だ。
 霧島は先ほど、なんでこんな時に限って自身一人で、と呟いたがそれは面倒事を自分だけが負わされた、という意味ではない。
 長姉を慰めるのに、自身一人では荷が勝ちすぎると自覚したゆえの霧島の弱音だ。
 
「提督……ソーリー……ごめんなさいねー……」

 うな垂れて呟く金剛の姿は許しを請う罪人にも似て、それを傍で見た霧島は目を閉じた。普段の明るい姉も姉であるなら、この姿もまた姉であると受け入れる為だ。
 そして霧島は、金剛がただの紅茶でこうも見事に酔っ払った理由を思い出していた。
 
 提督篭る。金剛困る。提督出て来る。金剛喜ぶ。提督宴会する。オレサマ オマエ マルカジリ! アッオーンッ!! 狩リノ時間ダ!!
 
 霧島の優秀な頭脳はこれまでの流れを正確に導き出した。霧島の中では。
 兎に角、執務室から出て来なかった提督が突如とある宣言を行い、これは目出度いと宴会となった訳である。そして金剛は宴会開始早々提督を大破着底させたのだ。
 それ以来、金剛はふとした事で自身の行いを思い出すようで、その度沈むようになってしまったのだ。ただ、紅茶で酔っ払ったのはこれ
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