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執務室の新人提督
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「あー……もうマジめんどいしー……」

 そう零して鈴谷は頭上を見上げた。
 雲ひとつ無い空に浮かぶ太陽は燦々と輝き、鈴谷達乙女の白い肌を無慈悲に焼こうとしている。陽の強さに、出る前に塗った日焼け止めの効果は如何程であろうか、といった事を考えながら鈴谷は今自身が居る場所、グラウンドを見回した。
 
 様々な室外用用具の他にも、水場等が設置された普通の広いグラウンドだ。ただ、鈴谷自身は普通のグラウンド、つまり学校施設などのそれを知らないので比較は出来ていない。ただ、彼女にとっては良く知る、常の、普通のグラウンドであった。そして、そのグラウンドで
 
「うぼぁー…………ちくまー……ちーくーまー……我輩……もう駄目じゃー……」
「駄目ですわ……もう私駄目ですわ……最後に神戸牛をたらふく食べたかったですわー……」
「くまりんこー……」
「さぁ皆さん、適度に休んだら次の訓練に移りますよ」
「早く準備をなさい。この程度でへばって提督の艦娘を名乗れるものですか!」

 倒れこみ様々なうめき声を上げて伸びている艦娘達と、彼女達を叱咤する、鈴谷達と同じスポーツウェア姿の二人の艦娘を含めて、鈴谷の良く知る、常通りの、普通のグラウンドであった。
 
「あらあら、鈴谷はまだちょっとやれそうね?」
「当然でしょー? でも、ちょっとだるい感じするけど」
 鈴谷の隣で、他の者達とは違い二本の足でしっかりと立っている艦娘、赤い芋ジャージ姿の足柄が腕を組んだ、妙に胸を強調するポーズで佇んでいた。
 更にその隣には控えめながらも姉同様確りと立つ羽黒、乱れた髪を整える愛宕、何故か皆をカメラに収める青葉が居た。
 青葉にカメラを向けられた足柄は更に胸を強調し、隣に居る事で自然カメラのフレームにおさまってしまう鈴谷は硬い声を出した。
 
「ちょっと、青葉。別に撮るなって言わないけど、汗くさい姿はやめてよね?」
「えー、いいじゃないですか。こう、皆の汗水流す訓練姿を見たら、司令官だって私達の事気にしてくれますよー?」
「ちょ、マジでやめてよ!」

 鈴谷は向けられたカメラを手で遮り、本気で焦った相を見せた。
 
「あらあらー。鈴谷ってば乙女ねー」

 足柄のように強調するつもりもないだろうに、愛宕は腕を組んで微笑んだだけで彼女の胸が何よりも強く押し出された。その姿に、足柄は、ぐぬぬ、と自称チャームポイントである八重歯を見せて唸った。
 
「なによ、じゃあ愛宕はいいの?」
「んー……どうかなぁ……? 高雄と妙高はどぉう?」

 頬に手を当てのんびりと愛宕は彼女達より少し離れた所に立つ二人、妙高と高雄に水を向けた。元より興味があったのか、それとも無駄話を注意するつもりだったのか、兎に角二人はすぐに反応を見せた。
 
「提督に態々見せる
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