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執務室の新人提督
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 英国料理は暗黒面――アウトであり、二番艦は……デッドである。

「あの……その、今日の夜ご飯は……?」
「鳳翔さんと龍驤さんのご安心コースだよー……」
「あぁ、よかったです」

 元一航戦組の安心感は半端なかった。
 
「とは、言えね。あれだよ、あれ」
「わかりません」
「ですよねー。あー……自分の為に、和食を習ってくれてるってのは、まぁ、嬉しくもあったりするわけで」
「……金剛さんが?」
「ですです」

 あぁ、と初霜は頷いた。なるほど、と思えど意外と思う事はない。この鎮守府における、実質的なナンバー2といえば、間違いなく彼女――金剛だ。面倒見がよく、わけ隔てなく接する姿は、ナンバー1である長門とはまた違った安心感がある。おまけに、誰知らぬ者とてない、提督love勢筆頭――自他共に認める――だ。聡い金剛が、提督に苦手と思われている事に気づけていない訳がない。
 ならば欠点を埋めて距離を詰めるべく能動的に動くのは当然の事ではないか。この場合、提督にとって苦手意識となる金剛の長所を伸ばせないのだから、戦術的にはそう動くしかないとも言えるが。

「スキンシップとか、そういうの僕は苦手だけどね。でも、好かれて嫌える訳もないし、わがままなんだけどねー」
「誰だってわがままですよ」
「そりゃあ、人間だもの」

 にこりと笑ってから、提督は気の抜けた顔で欠伸を零した。

「お疲れですか? 何か甘いものでも……」
「いや、いいよ。お昼と紅茶で、もうおなかぱんぱんだしねー」

 苦笑を相にのせ、自分の腹をぽんぽんと叩く提督の姿は、暢気な物である。
 実に平和な午後であった。初霜は窓から見える太陽を仰ぎ見て、目を細め、声に出さず何かを呟いた。
 
 飛行機雲が、空を奔った。
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