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Deathberry and Deathgame
Chapter 4. 『堕ちてゆくのはぼくらか空か』
Episode 27. Rainy, Sunny
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<Lina>

「――以上が、『笑う棺桶(ラフィン・コフィン)』討伐作戦の報告全文です」

 アスナがそう締めくくると、一言も声を発さずに報告を聞いていたヒースクリフは重々しく首肯して、短く「ご苦労」と告げた。それを確認したアスナは一歩退き、私の左隣に並んで団長殿からの指示を待つ。

 ラフコフ討伐戦の夜が明け、さらに数日が経過した六月十七日の正午。

 私は一護や他のギルドリーダーと共に血盟騎士団本部の最上階にいた。
 報告の立ち会いを頼まれたのは、私と一護の他に、キリト、クライン、シュミットの三名。うち、キリトは辞退したため、ここにはいない。討伐戦後、相当に消耗した様子だったためアスナも無理強いすることはなく、ホームへと帰る黒衣の剣士を労り見送っていった。
 反対に、最も大暴れしたはずの一護はひと眠り後にあっさり回復。今は私の右隣でいつも通りの、いや、その二割増しのしかめっ面を作っている。その何とも分かりやすい苛立ちの原因は、今朝の情報ペーパー・ラフコフ壊滅特別号で「第二のユニークスキル使い」としてデカデカと一面を飾ってしまったこと。それから、朝からホームに多数の情報屋たちが押し掛けてきて全員まとめて草原に突き落す羽目になったことだろう。落ちていく情報屋の中に見覚えのある小柄な女性プレイヤーがいた気がしたけど、気にしたら負けってことで放置した。

 あの夜、『笑う棺桶(ラフィン・コフィン)』は完全に消滅した。

 構成員三十三名のうち、二十一人が死亡、十二人が捕縛された。
 上級幹部のうち、ジョニー・ブラックとザザのコンビは、一護に手足を切断されて抵抗力が弱まっていたところを血盟騎士団によって捕縛。他の幹部も、死んだ者と捕まった者が半々程度といったところだった。

 また、一護の《過月》で死んだかと思われていたPoHに関しては、HP残り数ドットという瀕死状態で捕獲されている。あれだけ一護に斬られて生きているなんて、なんとまあしぶとい男だ。

 トドメを刺し損ねた一護曰く、

「あのヤロー、最後の一撃の瞬間に、包丁を《過月》にブチ当ててダメージを減らしてやがった。追撃しようにも、あの直後に俺のゲージが尽きちまってたしな」

 とのことだった。一護の縮地に初見で抗った挙句そこまでできて、しかもゲージ残量ゼロという悪運を引き寄せるなんて、やっぱり奴は怪物だ。あの仄暗い微笑を思い出し、心の底からそう思う。

 一護の言う「ゲージ」とは、彼の『縮地』に付けられた制限のうちの一つだ。HPゲージの下に新たなバーが追加され、『縮地』を一度でも発動すると何をしようとも一定のペースで徐々に減少していく。
 もしゲージがゼロになると、システムによって凄まじい負荷が全身にかかり、三分間はあらゆる動作が不可能になる。ゲージが
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