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ぼくだけの師匠
第1章〜ぼくらを繋ぐ副作用〜
01.菊地原の師

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サイドエフェクトがあると戦いは楽になるか。
答えはYESかNOか。
NOだろう。
サイドエフェクトにより混乱をすることもあるのではないか。
必ずしもあれば良いわけではない。
どんなもので使い方を見極める必要がある。
少なくともランク戦ブースで珈琲を飲んでいる黒髪はそう考えているだろう。
長い髪に黒のロングコート。
太刀川隊を連想させるがあの人物は個人(ソロ)だ。
隊を組むことが必ずしも良いわけではない。
必ず何かのデメリットは存在するものだ。
だからといってサイドエフェクトをいらないと考えていたわけではない。
むしろ欲しいと考えていた。
ないものをねだる訳にはいかず、なら弟子ぐらいサイドエフェクトがある奴にしようと考えていた。
弟子が欲しいとは思わない。風間に言われなければ欲しいとすら思うことはなかっただろう。

「なぁ聞いたか?菊地原の副作用。耳がいいってやつ。」

「あー、地味なアレか」

長い黒髪で表情は読めないがその話が聞こえると頭をあげた。
C級の隊員の噂話らしく、そこらへんから聞こえてくる。
菊地原という人物もC級だろう、と予想をつけてから席を立った。

噂話の中心にされている菊地原は、風間という人物に呼ばれ、勧誘されていた。
耳が良いというだけの副作用のメリットについて聞かされた。
菊地原にしてみればメリットなどどうでもよかった。
使えないものと考えていたものに、使い道ができただけで良かった。
C級から使えないと言われたものを、風間という強そうな人が認めたのだから心では素直に喜んでおこう。
機嫌の良い菊地原はランク戦ブースに向かう途中だった。
だったという過去形なのは、その後行くこともなかったから。
見知らぬ人に呼び止められたのだ。
菊地原から見た第一印象は全身黒い人。
髪も服も黒いで風間みたく目付きが悪い。
菊地原は不良だと認識したに違いない。

「お前が強化聴覚を持つ菊地原か?」

「そうだとしたら?」

曖昧に答えたのは深く絡まれたくないからだったが、相手は気にもしなかった。

「俺の弟子になれ」

「は?」

この反応は菊地原だからではなく、誰しもがする共通な反応。
相手は理由や説明を抜きにして結果や結論を話したからだ。
どの言語にしても説明は必要不可欠であると再確認した瞬間だった。

「ぼく、なるなんて言ってない」

「細かいことは気にするな。
あまり気にするとストレスになるだけだ。」

考えすぎストレスより先に何かがある気がする、と感じた菊地原だったがその何かを回避する頭はまだなかった。
これが菊地原に師匠ができた瞬間である。
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