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【銀桜】9.たまクエ篇
第1話「外見は髪型と目のパーツで判断できる」
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みをもらったら一緒にハメを外したい、とたまは言っていた。
「……まさか、ずっと俺を待ってたのかよ?」
「ご迷惑でなければ、私にもっとハメの外し方を教えてください」
 真っ直ぐな瞳で頼んでくるたまに、銀時は内心やれやれと溜息をついた。
 『休暇』――もとい『心のリフレッシュ』は人に教わってどうこうなるもんじゃない。ようは自分にとって楽しいと思うことをすればいい。自分が幸せだと感じることを。
 そう促す銀時に、たまは首を横に振って答える。
「私にとっての幸せは『人の役に立つ事』です。ですが……それ以外の楽しみを見つけたいんです」
 意外な返事に銀時は目を丸くした。たまは他人のためじゃなく、自分自身のために何かをしようとしている。以前の彼女なら、そんな事をしようとも思わなかったはずだ。
 そんな喜ばしい変化に銀時がほくそ笑んでいると、凍てつくような視線が注がれてきた。
 自分だけ会話から外されているのが嫌なのか、先ほどから双葉が不満そうな目でこちらを見ている。
「………」
「銀時様。お付き合い頂けますでしょうか」
「……悪ィな。俺ちょっくら用があんだ」
 無機質の瞳の少女の依頼を、銀時は申し訳なさそうに断って
「つうわけだ。双葉あと頼むわ」
 背中を押して、妹をたまの前に出した。
「なぜ私が……」
「俺はこの前付き合ったから、今度オメー行け」
「はぁ?」
「女同士の方がハメ外しやすいだろ。女子会で盛り上がって来い」
 そう何か含んだ笑みを浮かべながら、銀時はスナック・お登勢へ入って行った。


 店の中へ消えてしまった銀時に突然バトンタッチされ、双葉は途方に暮れた。
 女同士と言っても、相手は機械(からくり)だ。一体何をどうしろと。
 確かにいつもお店のカウンターで顔を合わせている。しかし会話は注文をとる程度で、それ以上のやりとりはない。こうしてまじまじと話すのは、ネットゲームのハッキングの協力をしてもらった以来だ。
 もっとも、その時の記憶(データ)は双葉によって消されているので、たまにとっては今回が初めてということになるが。
 どちらにせよ、このままでは話が進みそうにない。双葉はとりあえず要望を聞いてみる。
「……お主、何かしたいことはないのか」
「1番の望みは誰かのお役に立つことです。働く事ができれば何もいりません」
「働きたいのなら働けばいいだろ。だったら店に戻れ」
「それがお登勢様から絶対にお店に入るなと。ですが夕方までには絶対戻って来い、と指示されました」
「……絶対に、ね」
 呟きながら双葉は閉店の札がかかった戸を見る。
 休暇をもらった店員が何をしようと本人の自由だ。自分が勤める店で一日中暇をつぶすのもありだろう。
 しかしお登勢がわざわざ命令してまで遠ざけたのは、たまが店に入っ
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