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ヴァンパイア騎士【黎明の光】
風紀委員の職務
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「何であんな真似したんだ?」



無粋だと理解しておきながらも、聞かずにはいられない。
目を覆えるほどに長い金髪を横に掻き分けながら問い掛ける。

ボリボリ、と無骨な音を響かせ錠剤を噛み砕きながら、青年は再び級友に目を向ける。口内に拡散する慣れ親しんだ味を嚥下してから、もう一度微笑んで見せた。



「同じニオイがしたから、確かめてみたかったんだ。丁度僕達にやらかしてくれた馬鹿を手駒にしてね」
「同じニオイ……?」

「決まってるだろ。同族の匂いさ」



青年は闇の中でくす、と嗤った。
蝋燭の炎に照らされ映し出されるその表情は――無機質で、妖艶。
彼のルームメイトで級友でもある金髪の男は、彼に悟られないようひっそりと眉を顰めた。






同じ頃。
裏庭で姫羅を抱き上げたままの澪は、【月の寮】を見上げていた。

――先程、あの窓から気配を感じた。その姿を確認するほどの余裕は無かったが、夜間部の生徒である事は間違いない。
そして、今夜自分達を襲撃したのも夜間部の生徒だ。


窓辺から視線を外し、澪は腕の中の姫羅の様子を確認する。
寝顔は安らかだが、首からの出血はまだ止まっていない。心臓より上部からの出血なので早めの止血が必要だろう。
首筋に指を這わせ、流れる血を掬い取ると甘美な香りが鼻を擽った。指腹から滴り落ちようとする鮮血を素早く舌先で受け止め、そのまま口内へと運ぶ。

澪は再び【月の寮】を見上げ――忌々しげに、舌を打ち鳴らした。
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