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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百七十九話 終結
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事に満足だ。おそらく他の艦隊司令官も同じ思いだろう。損害を少なくしたいという気持ちは分かる、将兵達のためだという事もだ。俺も無理をしたいとは思わない、だが無理をせずとも勝てるのだ。

「反乱軍、増援部隊が合流します」
オペレータの声が艦橋に響いた。これで正面は三個艦隊になった。だが心配はいらない、もうすぐこちらもミュラー艦隊が合流するのだ。動いたのはミュラー艦隊の方が早かったのだが迂回した分だけ遅くなった。今頃ミュラー提督はやきもきしているだろう。

「もうすぐミュラー提督が来る、慌てることなく対応しろ」
「はっ」
俺が声をかけるとオペレータ達が笑みを浮かべて頷いた。頼もしい奴らだ、こいつらならミュラー艦隊が来るまで問題なく耐えられる。その後は攻勢に転じて反乱軍を粉砕してやろう。メルカッツ副司令長官の別働隊を待つまでもない、一気に決着を着けるのだ。



帝国暦 490年 4月 17日    帝国軍総旗艦ロキ  エーリッヒ・ヴァレンシュタイン



「反乱軍、後退します」
ワルトハイム参謀長の声は比較的落ち着いていた。まあ普通は後退とかいうと誘引の危険が有るんだが現状では問題無いだろう。理由は簡単、ビッテンフェルトとミュラーを抑えている部隊の旗色が悪いのだ。三個艦隊を回しているが戦線を維持出来ずに少しずつ後退している。同盟軍は本隊も後退し戦線を一つに纏めようと考えているらしい。

本当は全軍で一気に退いて態勢を立て直したいのだろうがそれをやれば帝国軍に逃げられかねない。その事が同盟軍の動きに制約を付けている。まあ悪い考えじゃない。しかし分かっているかな、戦線を後退させているわけだがその分だけメルカッツに近付く事になるという事を。そして距離と時間をロスしている事を。分かってはいるが已むを得ない、そんなところかもしれない。

逃げるという手も有るな。同盟軍が一番嫌がる手だ。後退している同盟軍はこちらに付け込まれないようにと、そして逃げられないようにと必死だろう。不意を突いての急速後退は難しくはないだろう。そして睨みあい、駆け引き。不可能じゃない、しかし現実的でもない。戦況は優勢だしこのまま戦闘を継続してメルカッツを待った方が良さそうだ。多少犠牲は出るが已むを得ん。下手に逃がすとまた何かしでかしそうで怖い、被害も多くなるような気がする。

戦況が優勢という事も有るのだろうが皆、活き活きしている。不本意に思っているのは俺とヴァレリーだけのようだ。そんなに戦いたいかなあ。勝つのは分かっているんだ、たとえ戦闘が無くても昇進はさせるんだが……。戦い過ぎるのも問題だが戦わなさ過ぎるのも問題か。俺とラインハルトを足して二で割ると丁度良いのかな、軍人なんてそんなもんかもしれん。

同盟軍の後退は続く。こっちはそれを追いながら攻撃を
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