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『愛花-アイカ-』
『愛花の散り様』
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ん。
意識が戻れば帰って良いって。

はぁ?
んな軽いもんちゃうやろ!
苛立ってしゃあない。

世の中や大人の汚さ、醜さ、理不尽さ...解ってるつもり。
何とか怒りを抑えた。
病室に一緒に行った...

此処暫くの事、整理する。
零は自分の家の事もある。
毎日耐えれんほどの屈辱に耐えてる。
殺したい気持ちを抑え、養父の玩具として生かされてる。
正直、自分の事だけで限界越えてるし精一杯...。

茉莉花先輩、サムライ、愛花サン...
皆が逝ってしまえば、どうしたらいいか解らんなる。
救いがなくなる。

でも、零には、感情を殺す、痛みを消す...そんな術があった。
零には、もう1人の零が居た。
大丈夫。
何が起きても平気。
零は乗り切れる。

冷酷で残酷、心やか一切無い零になる。

愛花サンの両親に電話する為、公衆に行く。
パニくる両親。
質問に応える零。
両親は信用せなんだ。
愛花サンは良い子で、そんな子じゃ無いと。
本当の愛花サンを何ヒトツ知らなんだ。
30分位話した。
テレカがもう無くなる。
とにかく来たら解るから来て欲しいってお願いして切った。

病室に帰ったら何かが変。
置いてたナイフが無い。

落とした?
誰か持って行った?

愛花サンも、さっきと変わらず。

両親が看護婦さんと一緒に来た。
優しそうというよりは、か弱そうな母親。
ほんわかした雰囲気の、目の細い父親。
此の両親なら、パッと見だけの判断やけど...子供は優しくてニコニコしてて良い家庭になりそう...
人間、見た目じゃ解らんって事なんやろな、やっぱり。

看護婦さんが血圧測る為に少し布団をはぐった。
其処に伸びてたはずの手がない。
代わりに紅く染まったシーツが...

なんで...!
もしかして、電話の間に意識が?
あかん...零が殺した。
完全に零の責任。

泣き叫んだ。
壊れた。
感情が狂った。
気を失った。

気付いたらベッドの中。
点滴抜いて看護婦さん処に行った。

愛花サンは、両手でチカラ強くナイフを握ったまま...
心臓ひと突きだったらしい。



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