14.限界
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花火大会が終わった後、私達はあの場所を教えてくれたおばあちゃんに会い、お礼を伝えた。
「あんなグッドな場所を教えてくれてありがとうございマース。私は金剛デース!」
「私は霧島です」
「あら! てことはあんたがたも艦娘ね?」
「そうデース。元デスけどネー」
その後おばあちゃんとしばらく話した後、私達はおばあちゃんと別れた。別れ間際に『鈴谷ちゃんが喜んでくれたから』と、タッパーに入ったお漬物をくれた。
旅館に戻った後、私達は温泉に入って昼間の汗を流し、自室に戻った。そして今、鈴谷から『今夜は寝かさない』とひどく誤解を招く宣言をされ、おばあちゃんのお漬物をパリパリと食べながらこの地方名産の焼酎『黒霧島』を飲んでいる。
「なんか闇堕ちした霧島さんみたいだねぇ。キリシマ・ブラック的な」
鈴谷はケラケラと笑いながらそう口走り、霧島からケツに折檻を受けていた。その後、『うまい黒霧島の飲み方』という、今後の人生の糧になるかどうかよくわからないが、確実に厳しいレクチャーを霧島から受けていた。あのスパルタぶりは、往年の神通を彷彿とさせる。
「鈴谷、いい?! グラスのかち割り氷に黒霧島を注いだら、そこで一回かき混ぜる! そしてかき混ぜたらかち割り氷を追加して、再び黒霧島!!」
「はいはい…つーかマジ意味不明なんですけど……」
「……またケツに折檻を受けたいのかしら?」
「霧島…マジで怖いからメガネを光らせるのは止めるネー…ドン引きデース……」
霧島の猛烈なシゴキによって創りだされた、鈴谷の恨みつらみケツの苦しみが篭った恐るべき黒霧島は、確かにおすすめの飲み方と言われているだけあって美味しかった。おばあちゃんのお漬物も美味しい。その土地の郷土食を楽しめるのは、旅の楽しさだ。
「んん〜……美味しいデース」
「鈴谷も飲んでいい〜?」
「ちょこっとだけデスヨ〜?」
鈴谷に、私の黒霧島を少しだけ呑ませてみた。
「……おいしい!! 金剛さんこれちょっとマジで美味しいんですけど!!」
「鈴谷は酒飲みの素質があるみたいネー」
「金剛さんは?! 金剛さんはこれおいしい?!」
「美味しいデスヨー。おばあちゃんのお漬物もサイコーね」
「でしょでしょ?! 両方とも鈴谷のおかげですから!! 鈴谷がケツを犠牲にしておばあちゃんから譲り受けたのがお漬物で、霧島さんからケツを叩かれながら作ったのがこのキリシマ・ブラックですから〜!!」
ほっぺたが少し赤くなっている鈴谷が、立ち上がってそう誇らしげに胸を張っている。まさかもう酔ったとでもいうのだろうか。
「……鈴谷? もう酔ったデスカー?」
「酔ってないよ? んっふふ〜……いわばこのお漬物と黒霧島は鈴谷のケツなくして存在しなかったのだよ金剛さん!! 鈴谷
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