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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十四話 ウルリッヒ・ケスラー
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 結局、俺はその日のほとんどを「物置部屋」で過ごした。もちろん、ディーケン少将には断りを入れている。
−−−新たな任務が決まったが、確認したい事があるので資料室にいる。もちろん緊急の要件であれば呼び出してもらって構わない−−−

 ディーケン少将は引継ぎをどうするのか、時間は有るのかと聞いてきた。もっともな質問だった。ハウプト中将から渡された資料には、カイザーリング艦隊は現在イゼルローン回廊を同盟領へ向けて哨戒中であり、哨戒任務終了後惑星リューゲンで合流せよとある。

期間は1ヵ月半はあるだろう。それをディーケン少将に告げると快く許してくれた。いなくなる俺には関心は無いということか。むしろ上層部から睨まれている俺の上司でいる事はあまり嬉しくないことだったろう。厄介払いが出来て清々しているといったところか。

 俺が何とか対策を考え、それに必要な準備を整え終えたのは夜七時をまわった頃だった。正直空腹だったが、時間が惜しい。食事を後回しにしてTV電話で或る男を呼び出す。
「やあ、エーリッヒ。どうしたこんな時間に……。まさか何かあったか?」

「ギュンター、新任務が決まったよ。それでちょっと卿に相談したい事があるんだが」
「これからか?アントンも呼んだほうがいいな。落ち合う場所は何処にする」
「いや、卿に相談したいんだ。場所は憲兵本部でいい」
「ここで? どういうことだ?」
「今はいえない。どうだろう? 今から行っても良いか」
「……判った。待っている」

 憲兵本部に着いたのは10分後だった。受付で姓名、官職名を名乗ると自ら3Fにある小さな部屋に案内してくれた。取り調べ室なのだろうか? 小さな机があり、椅子が二つある。俺を取り調べるつもりかと考えていると、部屋にキスリングが入ってきた。俺の前に座りつつ話しかけてきた。

「何だ俺に話とは」
「取り調べかい、ギュンター」
「阿呆、やばそうな話だと感じたんでな、わざわざここにしたんだ。誰も入ってくるなと言ってある」

「今度、第359遊撃部隊の作戦参謀を命じられた。司令官はカイザーリング中将、男爵閣下だ」
「!! 作戦参謀?」
「何でもいいから前線に追い出して戦死させたいようだ」
「……それで、俺に話とは?」
「これを見て欲しい」
「? これは?」

 俺が見せたものは二つのグラフだった。一つはカイザーリング艦隊の補給の頻度及び一回の補給量、もう一つはカイザーリングとほぼ同規模の艦隊の補給の頻度及び一回の補給量だった。俺はその事をキスリングに話し問いかけた。

「どう思う?」
「補給の頻度が高いな。それに補給量も多い。……物資の横流しが行われている、卿はそう言いたいんだな」
「こっちを見てくれ」
俺は別な資料を机の上に広げた。

「これは?」

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